「
マイルCS・G1」(18日、京都)
昨年に続き、今年も3歳馬が頂点に立った。5番人気の
ステルヴィオが、ゴール前の追い比べを制してG1初タイトルを奪取。無冠に終わった春の雪辱を果たした。鞍上のビュイックはうれしいJRA・G1初V。2着は昨年の覇者
ペルシアンナイト(3番人気)、3着は
アルアイン(4番人気)。春秋マイルG1制覇が懸かっていた
モズアスコット(1番人気)は13着に敗れた。
今週も外国人旋風が吹き荒れた。名手に導かれ、真っ先にゴールを駆け抜けたのは5番人気の
ステルヴィオ。上位きっ抗ムードだった秋のマイル王決定戦を制し、G1初戴冠を果たした。
殊勲のビュイックが振り返る。「スタートが良く、枠も最内だったので、無理して抑えず自然な流れに乗りました。さほどペースも速くなかったし、思い通りのレースができましたね」。最内枠から5、6番手につけると、直線では先に抜け出した
アルアインを目掛け、
ペルシアンナイトとともに強襲。最後にグイッとひと伸びし、昨年覇者を頭差封じて頂点に輝いた。これがJRA・G1初勝利となった30歳の名手は「関係者のサポートもあってG1を勝てました。感謝しています」と破顔一笑だ。
レース後、木村師は人目もはばからず泣いた。2011年の開業から8年目、延べ16回目の挑戦で届いたG1タイトル。引き揚げてきた太田助手と抱き合うと、枠馬に顔を押し付けて、もう一度泣いた。「はー、ホッとしました。思い?多過ぎて言えません」。毎年、大手牧場生産の名血が送り込まれる関東のホープ厩舎。両肩にかかるプレッシャーは相当だったに違いない。「
皐月賞の時は、レース当週の調教を“私が”失敗した。トップコンディションでなく出してしまって。秋は絶対、挽回したいと。この馬を何とかしようと、全てのスタッフが一生懸命やってくれた」。春のクラシックでは結果が出なかったとあって、感慨はひとしおだ。
「恥ずかしながら調教師の頭が真っ白なんで」と話す指揮官に、今後の具体的な予定は浮かんでいない。しかし、鞍上いわく「もう少し距離が延びてもいいと思う。海外も視野に入る」。言葉通りなら、マイル路線のみならず、レース選択の幅も広がってくる。秋の淀最後のG1で春のうっぷんを晴らした3歳馬が、ここを起点にどんな輝かしいキャリアを築いていくのか-。興味は尽きない。
提供:デイリースポーツ