「
ジャパンC・G1」(25日、東京)
圧倒的な強さで牝馬三冠を達成した
アーモンドアイ。前哨戦を
スキップする異例とも言えるローテで史上5頭目の偉業を達成した快挙の裏には、ノーザン
ファーム天栄の存在がある。同じ三冠牝馬
ジェンティルドンナ以来、6年ぶり史上2頭目となる3歳牝馬Vを狙う大一番を前に、同牧場の木實谷雄太場長(38)が最強牝馬の進化、そして中間の調整過程を明かした。
レースで見せる圧倒的な強さは“前線基地”のサポート抜きには語れない。
三冠牝馬
アーモンドアイは2歳のデビュー直前から一貫して茨城県の美浦トレセンと、福島県のノーザン
ファーム天栄を行き来している。昨年8月のデビュー戦こそ2着に敗れたが、すぐに木實谷場長は類いまれな素質に気づいたという。「未勝利戦を勝った時(=17年10月・東京)にクラシックを狙える馬だなと思いました。ただ、一戦ごとの消耗が激しいという点も感じましたね」と当時を振り返る。
今後のレースは慎重に選択しなければならない-。その信念は、
シンザン記念から
桜花賞への中89日のローテや、
オークスからぶっつけとなる中146日で三冠最終戦・
秋華賞へ向かったことからもうかがえる。「決して異例のローテとは思っていません。あくまで馬に合わせて、いい状態で使おうと思っていただけです」
オークス後の夏休みも同牧場で過ごした。そこで春2冠の疲れを癒やしながら、さらに進化を遂げたという。特に大きかったのが、内面の進化だ。「
テンションの上がる面があるので、春は周回コースの使用を控えていました。夏の調整から使えるようになっていますし、精神面の成長を感じています」と目を細める。
牝馬三冠達成後、10月18日から11月8日の放牧では、
ジャパンCに向けての調整が施された。「
桜花賞から
オークスの時と同じ中5週ですが、当時より慎重に立ち上げました。レース後の回復具合をしっかり見極めた上で乗り始め、美浦へ戻る10日前くらいから坂路に入れるようにしました」
ルメールを背にした1週前追い切りの動きを確認し、木實谷場長は「時計、手応え、ジョッキーの合図に対しての反応もいつも通りでしたね。それに1回使って締まっています。馬体を見てもシャキッとした印象」と、思惑通りの状態で東京農工大の先輩・国枝師へバトンをつなげたことを確信した。
3歳牝馬No.1から、現役最強へ-。「恐らく今年最後のレースになると思いますが、初めて違う世代のトップホースと走るわけですし、来年どんな路線を歩むことになるかの試金石だと思っています」。胸を高まらせつつ、レースの時を待つ。
提供:デイリースポーツ