2009年の
ウオッカの勝利から、日本の牝馬の優勝は9年間で5回。今年、ここに
アーモンドアイが新たに名を刻むのか、期待は高まる。『
ジャパンカップ名牝列伝』、最終回は5回目の勝利となった2015年の
ショウナンパンドラをお送りする。
■0.6秒のなかに15着までが入る大激戦を制す
2015年、前年の
秋華賞馬
ショウナンパンドラは、着実に力をつけてきていた。
宝塚記念は11番人気の低評価を覆し0.2秒差の3着、秋緒戦の
オールカマーは大外からメンバー最速の上がりで差し切り勝ちをおさめた。
しかし、前走の
天皇賞・秋は4着だった。鞍上の
池添謙一騎手が「状態が良く自信もあったが、外枠でいいポジションが取れずに惜しい競馬になってしまった」と語ったように、不利といわれる15番枠スタートの影響で後方からの競馬となり、上がり最速を使ったが届かなかったのだ。
そして迎えた
ジャパンカップ。1番人気(単勝オッズ2.7倍)は
宝塚記念と
天皇賞・秋を制した
ラブリーデイで、以下、GI・7勝目を狙う
ゴールドシップ(2番人気・同4.7倍)、
オークスと
秋華賞を勝った3歳牝馬
ミッキークイーン(3番人気・同5.0倍)と続き、
ショウナンパンドラは4番人気(同9.2倍)。また、
ショウナンパンドラは
天皇賞・秋と同じ15番枠からのスタートとなった。これに池添騎手は「前走悔しい思いをしたのと同じ枠で、競馬の神様から試されているように感じた。今回は僕がしっかり乗るだけ。絶対に結果を出すと期するものがあった」と、強い気持ちで臨んでいた。
ほぼ揃ったスタートからハナに立ったのは
カレンミロティック。
ラブリーデイは好位の内、そこから2列後ろに
ミッキークイーンと
ショウナンパンドラが追走する。「積極的なレースをしよう考えていた。向正面で
ラブリーデイが見えたので、離れずついていこうと思った」(池添騎手)というように、道中は
ラブリーデイをマークしながら進む。4コーナー手前で大歓声があがる。
ゴールドシップが外から一気に仕掛けて縦長の隊列が動き、各馬も一斉にスパートを開始した。
先頭で粘る
カレンミロティックが、残り400mで
ラブリーデイに捕まる。さらに最内から
ラストインパクトが伸び、馬体を離しての2頭が競り合う。そこへ追ってきたのが
ショウナンパンドラだった。残り200mを過ぎて前が開くと、ひと追いごとに差を詰め
ラブリーデイを交わし、さらに少しだけ前に出ていた
ラストインパクトもゴール寸前で捕らえた。「直線はぶつけられるシーンもあったが、ひるまず狭いところを割っていってくれて、最後までがんばってくれた。強い女の子だと思う」(池添騎手)と賞賛する勝利は、クビ差。さらに3着もクビ差、4着以下も僅差で続き、0.6秒以内に15着までが入るという大接戦だった。
ジャパンカップは
天皇賞・秋4着から、
オールカマーは
宝塚記念3着から、
秋華賞は
紫苑S2着から、
ショウナンパンドラの勝利はいつも敗戦からの逆転。池添騎手がいう通り、彼女は負けず嫌いの本当に強い女の子だったのである。