【
チャンピオンズカップ(日曜=12月2日、中京ダート1800メートル)】
アーモンドアイが
ジャパンカップ(25日)で見せつけた“2分20秒6の衝撃”。その興奮が冷めやらぬ中、今度は「若き砂王」爆誕となるか!?
初の古馬相手となった
南部杯で、
ゴールドドリーム、
ノンコノユメといったダート界の一線級を一蹴した
ルヴァンスレーヴ(牡3・萩原)が、第19回
チャンピオンズカップで早くも
JRA・GIタイトル奪取に王手をかけている。本紙は(株)GIレーシング吉田正志代表(38)に独占インタビュー。大一番を前にした胸中と今後の野望に迫った――。
――前走の
南部杯は初の古馬との対戦
吉田代表:強い馬だとは思っていたけど、過去3歳馬は出走すら少なく、勝ったことがないといった記事も出ていたから…。不安も大きかったんです。ただ萩原調教師がいつになく自信のあるコメントを伝えてくださったので、少なくともいい競馬はできるかなと感じていました。
――終わってみればレース史上初の3歳馬の勝利。しかも1馬身半差の完勝だった
吉田代表:ダート路線は特に古馬が強いし、一度トップに立った馬が長く君臨する。しかも層が厚い。そんな状況だけにあくまで力試し。ここを勝つようなら道が開けるかな、と。それが期待以上の勝ちっぷりでしたね。
――同じダート路線の
オメガパフュームやグリムだけでなく、芝路線でも
アーモンドアイや
ステルヴィオと3歳馬の活躍が目立つ
吉田代表:他の馬のことは分からないし、3歳馬の活躍はたまたまという気もしますが…。同世代の中では抜けていると思うので、まずはダートのチャンピオンを目指したいですね。(
JRA賞の)
最優秀3歳牡馬(の受賞)は難しいかもしれないけど、このチャンピオンズCを勝てれば色気も出てくる。
――デビュー前の印象は
吉田代表:白老
ファームで生まれて、1歳の年明けに初めて見たときに、柔らかみのあるいい馬だとは感じましたけど。正直、ここまで走る馬になるとは思っていなかった。
シンボリクリスエスも種馬としてあまり活躍できていなかったですから。ただ育成が進む中で牧場で乗った騎手や、かつて
シンボリクリスエスにも乗っていた山元トレセンの畠山主任から、いい感触は聞いていたんです。
――デビューからここまで7戦6勝のキャリアを振り返って
吉田代表:新馬戦(新潟ダ1800メートル)を見て“これは強いな”って。それでも分からない部分はあったんですけど、2戦目の
プラタナス賞(東京ダート1600メートル)でモノの違いを感じましたね。
――
プラタナス賞後は
ケンタッキーダービー挑戦の期待も高まった
吉田代表:ミルコ(デムーロ)が「行きたい」って言ってましたし、もちろん私自身も。“この馬で行ってみたい”と思えるような馬はなかなか現れないですからね。ただ球節の不安とか、(馬体の)緩さとかで、まだ完璧な状態ではなかった。それで調教師サイドとも話をして、時期尚早ってことになりました。自重してまずは国内に専念しようと。無理をさせなかったから今があるんだと思います。
――初の
JRA・GI。勝敗のカギは
吉田代表:距離やコースに関して不安はないですね。馬が強いのは分かっていますから、力を出せる状態で出られれば、と思っています。
――結果次第で今度こそ海外への期待も膨らむ
吉田代表:まずはチャンピオンズCでしっかり結果を出してからです。前走で古馬に勝ったとはいえ、今度は
JRAのGI。ここをクリアすればドバイ(ワールドカップ)や米ブ
リーダーズカップって話も出てくると思うが、今は行きたい気持ちを抑えて、しっかり目の前のレースをものにしようと…そんな感じですね。
――今後の可能性を改めて
吉田代表:
南部杯の前にようやくソエとかも落ち着いて、馬がしっかりしてきた。それでもまだまだ成長の余地はある。不安なく調教ができるようになってくれば国内は無双できるかな、と。そうなれば今度は海外でどういう競馬ができるんだろうって。私自身も一ファンというか、もうそのクラスの馬ですよね。今回のチャンピオンズCと(来年2月の)
フェブラリーSでいい結果が出せれば…。ここからの2戦で先々が見えてくると思います。
★よしだ・まさし=1980年生まれ。慶應義塾大学卒業後、白老
ファームに勤務し、イギリス留学後にアメリカの生産牧場へ。帰国後、追分
ファームの
マネージャーとなり、2015年から(株)GIレーシング代表も兼務。
東京スポーツ