今年の
阪神ジュベナイルフィリーズで人気の1頭に支持されている
ダノンファンタジー。前走で
ファンタジーSを快勝して大舞台へ向かう。過去にも、この
ファンタジーSから連勝を決めた馬がいる。今回の「GI列伝・阪神JF」は、2002年の
ピースオブワールドを振り返る。
■1番人気に応え続けた2歳女王
ピースオブワールドは、オーナーブリーダーである飯田氏がセリで渡米中に同時多発テロを経験したことから名づけられた(管理した坂口正大調教師の人柄もふまえたそうだ)。馬名に違わぬ穏やかさがあり、パドックでもレースでも落ち着きがあった。また、デビューから2か月で2歳女王となったが、その間の4戦で中1週が続いても馬体重を減らすことはなかった。スピードに加え、牝馬らしからぬ精神力と完成度の高さで、頂点に立ったのである。
デビュー戦は10月の京都ダート1400m。単勝オッズは1.2倍、2番人気が10.2倍という抜けた1番人気だった。レースは持ったままで逃げ切り、2着馬に1.0秒差をつける圧勝で人気に応えてみせた。
2戦目は中1週で芝のレースへ。この500万特別(
かえで賞・京都芝1400m)では、牡馬の
エースインザレースと人気を二分したものの、単勝オッズは2.0倍(
エースインザレースは2.1倍)。3番人気は13.3倍という見立て通り、2頭のワンツー決着となる。ただ、好位追走から、逃げた
エースインザレースを直線で捕らえると一気に突き放しての2馬身差で、
ピースオブワールドの完勝だった。
中1週は続き、3戦目は
ファンタジーSに挑む。初重賞ながらファンの信頼は厚く、単勝オッズは1.4倍の断然人気を背負った。このときも好位につけ、勝負どころから進出を開始。そして直線は楽な手ごたえで抜け出し、1馬身1/4差での勝利。横綱相撲で2歳女王決定戦へ向かうことになる。
第54回阪神ジュ
ベナイルFに駒を進めた
ピースオブワールド。危なげのない競馬をみせ続けてきた彼女に、大きな期待が寄せられるのは当然のことだろう。
ピースオブワールドの単勝オッズ1.5倍に対し、
ファンタジーS3着から参戦した2番人気の
トーホウアスカのそれは10.4倍。ここでも圧倒的人気でのゲートインとなった。
レースは、揃ったスタートから大外枠の
ホワイトカーニバルが先手を取った。
ピースオブワールドは好位につけたが、道中は無理せず中団馬群のなかを追走し、3コーナーで外に持ち出されると徐々に位置を上げていく。直線は外から追いあげ、粘り込みを図る先行勢をまとめて差し切ると、さらに1馬身半突き放した。
こうして
ピースオブワールドは、デビュー戦からすべて1番人気1着という堂々たる成績で、2歳女王に輝いた。