天皇賞・春、
天皇賞・秋、
ジャパンカップに続く、この年のGI・4勝目を目指す
スペシャルウィークと、その
スペシャルウィークを
宝塚記念で圧倒した
グラスワンダー。2頭にとって二度目の対決は、
スペシャルウィークがこのレースでの引退を表明していたため、最後の対決でもあった。
ハナを切った
ゴーイングスズカは、13秒台のラップが並ぶ超スローペースを作り出す。
ナリタトップロード、
ダイワオーシュウが続き、
グラスワンダーは中団やや後ろ、
スペシャルウィークは最後方からレースを進めていく。
レースは、3コーナー過ぎから動き出す。
グラスワンダーが外目を回って一気にポジションを上げると、
スペシャルウィークもそれに呼応するかのようにスパートを開始。この2頭が馬群を飲み込むようにして4コーナーを回っていく。
直線では、一歩先に
ツルマルツヨシが抜け出しを図り、外から
グラスワンダーと
スペシャルウィークが追う。間を割って伸びてくるのは
テイエムオペラオー。坂を上りきったあたりで
グラスワンダーの手応えが怪しくなったように見えたが、迫ってきた
スペシャルウィークと馬体が併せるとエンジンが再点火。もうひと伸びで内の
ツルマルツヨシと
テイエムオペラオーをねじ伏せ、最強の2頭は馬体を併せたままゴールする。
勝利を確信する
スペシャルウィーク武豊は
ウィニングラン。
グラスワンダー的場は苦笑いを浮かべ検量室前へと戻っていく。しかし、着順掲示板の一番上に表示されたのは7番。
グラスワンダーがゴールの瞬間にハナだけ出ていた。その差は4センチ。レース後に
武豊が「競馬に勝って勝負に負けたという感じ」と振り返るほどの際どい勝負であった。
1900年代最後の
有馬記念。死力を尽くした4頭によるゴール前は、紛れもなく平成の
有馬記念史に残る名勝負である。