ディープインパクトのラストラン、それは王者の誇りを取り戻すための最後の戦いでもあった。
ファンの期待を一身に背負って挑んだ
凱旋門賞は3着入線に終わり、レース後には禁止薬物が検出され失格処分を受ける。国内復帰戦となった
ジャパンカップを圧倒的人気に応えて勝利したものの、それまで見せてきたパフォーマンスに比べると地味な内容にも映った。絶対王者として、前年に苦杯を舐めた舞台で圧倒的な強さをみせる。それが、
ディープインパクトに課せられたラストミッションであった。
1番人気はもちろん
ディープインパクト。単勝支持率70.1%、単勝オッズ1.2倍という圧倒的な支持を受け、2番人気の
ドリームパスポートが13.1倍、3番人気の
ダイワメジャーが15.1倍で続く。
レースは香港遠征帰りの
アドマイヤメインがハナ。道中では後続との差を広げ、10馬身以上離す大逃げを展開する。
ディープインパクトはいつも通りの後方待機。3コーナー過ぎから仕掛けられ4コーナー入り口で先団に取り付くと、残り200m地点で先頭に立つ。そのまま差を広げると、最後は流しながら、拍手と「ありがとう」の声援が飛び交う中でのゴール。2着
ポップロックとの差は3馬身。
武豊が「今までにないくらいの強烈な『飛び』でした」と振り返る圧巻の走りだった。
最終レース終了後に行われた引退式。5万人のファンに見守られ、
ディープインパクトは736日間におよぶ競走生活を終え、ターフを去った。
平成18年12月24日、第51回
有馬記念。間違いなく平成の競馬史に残る、英雄のラストフライトだった。