ディープインパクトがターフを去り、群雄割拠の時代に突入。
1番人気に推されたのは前年の二冠馬で、この年の春秋の天皇賞を制覇していた
メイショウサムソン。前年の
有馬記念は5着止まりだったが、古馬総大将としてリベンジに挑む。
2番人気
ポップロックは前年の2着馬。
ジャパンカップでは
メイショウサムソンに先着しており、ペリエ騎手を背に悲願のGIタイトル獲りを目指す。
3番人気は3歳牝馬にしてファン投票第1位を獲得した
ウオッカ。この年、64年ぶりとなる牝馬によるダービー制覇を成し遂げていた。
秋華賞は3着、
エリザベス女王杯は出走取消とリズムに狂いが生じていたが、
ジャパンカップでは上がり最速で4着。輝きを取り戻すべく、暮れの
グランプリに参戦してきた。
好スタートは
ダイワスカーレット。内から
マツリダゴッホも先行態勢を取るものの、それを制して外から
チョウサンがハナを切る。
ダイワスカーレットは2番手に控え、3番手の内に
マツリダゴッホ。
ポップロック、
ウオッカが中団につけ、1番人気の
メイショウサムソンは後方11番手からのレースとなってしまう。
3〜4コーナーでも前を行く
ダイワスカーレットと
マツリダゴッホは楽な手応え。対照的に後方から仕掛けていく
ウオッカ、
メイショウサムソンはなかなか前との差を詰められない。
4コーナーでは外から
ダイワスカーレットが先頭に並びかけていくが、コーナーワークで内からあっという間に
マツリダゴッホがリードを奪う。坂を上がっても脚色は衰えず、そのまま、1馬身1/4の差をつけゴールへと飛び込んだ。2着に
ダイワスカーレット、そこから2馬身半遅れて内を捌いた
ダイワメジャー。
上位人気3頭が総崩れとなり、3連単は80万円を超える大波乱となった。
レース後の会見で、この年の流行語にかけて「スタンドのお客さんにKYと言われました」と笑わせた
蛯名正義。
稀代の中山巧者による一世一代の激走に、場内はしばらくの間、ざわめきに包まれていた。これもまた、競馬である。