この年は、
JRA60周年を記念し、抽選で指名された出走馬の関係者が希望の枠順を選択するシステムが採用された。
その抽選で1番目に引き当てられたのが、このレースでの引退が決まっている
ジェンティルドンナ。陣営は2枠4番を選択する。続いて引き当てられた
トゥザワールドが選択したのは3枠6番。その後も、内目の枠から順に埋まっていき、会場に不穏な空気が漂い始める。というのも、上位人気が予想される
ゴールドシップ、
エピファネイア、
ジャスタウェイが残り4頭になっても名が呼ばれていなかったからだ。結局、この3頭はそれぞれ14番、13番、15番に決まる。
内枠有利で知られる中山芝2500m。俄かに混戦ムードが漂いはじめた。
ヴィルシーナの逃げは1000m通過63秒0というスローペース。
エピファネイアが2番手を追走し、その直後に
ジェンティルドンナが続く。岩田
ゴールドシップは中団のやや後ろ、
ジャスタウェイは後方から競馬を進めていく。
3〜4コーナーで外を通って
ゴールドシップが捲って先団に取り付き、4コーナー入り口で
エピファネイアが先頭に立つ。抜けた
エピファネイアめがけて伸びてきた
ジェンティルドンナが残り50mで
エピファネイアを競り落とし、間を割ってきた
トゥザワールド、外の
ゴールドシップ、
ジャスタウェイの追撃を抑えてゴール。
見事に引退レースを7つめのGI制覇で飾った
ジェンティルドンナ。まさに「貴婦人」の名にふさわしい華麗な走りを見せ、歴史的名牝は静かにターフを去った。