2.6倍、2.7倍と人気を二分したのは
サトノダイヤモンドと
キタサンブラック。この2頭の一騎打ちムードで、離れた3番人気に前年の覇者
ゴールドアクター。
サトノダイヤモンドはここまで7戦5勝2着1回3着1回。春二冠には手が届かなかったが、
菊花賞は後続に0秒4差の圧勝と、その才能を開花させていた。
一方の
キタサンブラックも、この年に
天皇賞・春、
ジャパンカップとGIを2勝。前年は3着だったが、当時からの
パワーアップは明白で、
天皇賞・春、
ジャパンカップと同じ1枠1番を引き当てた点も有利と目されていた。
マルターズアポジーが1000m通過61秒0のスローペースながら、後続を5馬身近く引き離す逃げを打つ。
キタサンブラックは2番手に控える形で、3番手の外に
サトノダイヤモンド、その内に
ゴールドアクターと有力どころが好位を占める展開となる。3コーナー付近で
サトノノブレスが仕掛けていくも手応えを無くして後退。
残り400m地点で
キタサンブラックが先頭に立ち、真ん中に
ゴールドアクター、外から
サトノダイヤモンドと人気3頭の叩き合いとなる。残り100mで
キタサンブラックが二の脚を使い押し切るかにみえたが、ゴール寸前で
サトノダイヤモンドが差し切った。
一見、前に行った有力馬で決まった淡白なレースに見えなくもないが、名手と名馬が死力を尽くした紛れもない名勝負だった。レース後にルメールが見せた涙こそ、その何よりの証である。