2018年の
有馬記念は
アーモンドアイの参戦こそなかったもの、ファン投票で選出された
オジュウチョウサンが見せ場をつくったり、外国人ジョッキーのGI連続優勝記録を
池添謙一騎手が止めるなど、話題豊富でとても見ごたえある
有馬記念でした。
その中で、私が個人的に感動したいくつかの
グランプリでのこぼれ話を書きますね。
有馬記念の前日、
中山大障害では栗東・田所秀孝厩舎の
ニホンピロバロンが優勝しました。
ニホンピロバロンは2016年3月に
オジュウチョウサンが(今年の
有馬記念までのあいだで)最後に負けた相手でした。
実は田所調教師はこれがGI初制覇! いやー、とても優しくて大好きな先生なので個人的に嬉しかったです!
ニホンピロバロンも2016年12月から右前繋部浅屈腱炎を患い、休養を余儀なくされていました。それを克服しての勝利ですから! 陣営のコツコツとした努力と忍耐が報われたことに感激を覚えます。
そして、今回コンビを組んだ
石神深一騎手は
オジュウチョウサンの名パートナーでもありますね。いまも調教でコンビを組み続けています。とにかく
オジュウチョウサンの気持ちを大事にして、いまもなお丁寧に調教をつけている様子にはただならぬ
オジュウチョウサンへの想いを感じます。
そんな石神騎手が今年の
中山大障害を勝つ姿を見て、記者仲間と「神様っているんだね」と話していました。
オジュウチョウサンを担当する長沼厩務員も「深一!良かった!!」と凄く喜んでいましたよ。
そして、
有馬記念。
スマートレイアーは予想どおり、今回もいい仕事をしてくれました。レースでは変わらず一生懸命走っていましたね。
そして、レース前は同じく牝馬の
モズカッチャンと一緒に行動することで彼女を間接的に助けていました。ここでも書きましたが、戦前、
モズカッチャンの古川助手が「牝馬1頭にならなくてよかった。できれば
スマートレイアーの近くで行動したい」と話していました。
馬は集団で行動する生きものですし、装鞍やパドック前の運動などで単独行動するよりは誰かについていたほうがいい。でも、周囲が一線級の牡馬ばかりとなると、
モズカッチャンのような牝馬はなかなかそうもいきません。
今回は出張馬房も隣同士になった
スマートレイアーと
モズカッチャン。当日は馬房から
スマートレイアーが誘導するように一緒に出発し、装鞍所の中でもずっと
モズカッチャンは
スマートレイアーの後ろについて行動していたそうです。そのおかげで
モズカッチャンも冷静に大切な時間を過ごすことが出来ました。さすがレイアー姐さん!
2017年冬の香港遠征で
レッツゴードンキが、「
スマートレイアーがいなくなると寂しくて鳴いて(泣いて)しまう」という話を書きました。
スマートレイアーはホント堂々としていて、気が強くて、すごく落ち着きがあって…。例えるなら、宝塚の男役のような威風堂々とした雰囲気があるんです。レイアー姐さんに比べると、
レッツゴードンキや
モズカッチャンは"女の子"という雰囲気の牝馬なので相性もピッタリなのかもしれませんね。
写真は
スマートレイアーの
有馬記念のレース後の様子。レース中はシッポにつけていたお花のリボンを担当さんがレイアーのオデコにつけてくれました。日も暮れ始めた中山で白いお顔に飾られたピンクと
パープルのお花…お美しい!
またひとつ、レイアー姐さんのいい話を見つけることができて、これも個人的にすごくうれしかったです。レイアー姐さんをはじめ出走各馬の皆さま、ホントおつかれさまでした!
(取材・文:花岡貴子)