出走馬は11頭。やや遅れた
アクションスター以外は、ほぼ横並びのスタートを切った。スタンド前で
ステイインシアトルが気合をつけられハナに立った。1番
ジェネラーレウーノ、
ミライヘノツバサ、
ダンビュライト、
シャケトラらがつづく。
1番人気の
菊花賞馬
フィエールマンは中団につけている。
そのままの隊列で1、2コーナーを回り、向正面へ。
1000m通過は1分02秒2という、ゆったりした流れになった。先頭から最後方までは8馬身ほど。
中団の後ろにいたオイシン・マーフィーの
メートルダールが、スローな流れにしびれを切らし、外からスルスルと進出した。
そのまま内の
フィエールマンをかわして行くかに見えたが、
フィエールマンも一緒にペースアップした。
これらのすぐ前の外目を、
石橋脩の
シャケトラが抜群の手応えで進んでいる。
「1年ぶりの競馬でしたが、角居調教師から『馬はできているよ』と言われていました。勝つイメージを持って、勝つ競馬をしました」
インフルエンザの
戸崎圭太から急きょ乗り替わった石橋はそう振り返る。
先頭は
ステイインシアトル、2番手は
ジェネラーレウーノのまま3コーナーへと入って行く。
4コーナーを回りながら、
シャケトラが内の
ステイインシアトルと
ジェネラーレウーノをかわしにかかる。
その直後から、
メートルダールが、内の
フィエールマンを封じ込めるようにコーナーを回り、直線へ。
前を
シャケトラ、外を
メートルダールに塞がれそうになった
フィエールマンの
クリストフ・ルメールはしかし、ブレーキをかけることなく騎乗馬を叱咤しつづけた。
シャケトラが早めに先頭に立った。
その外から、進路を確保した
フィエールマンが猛然と末脚を伸ばす。さらに外の
メートルダールも食い下がる。
「直線で手前を替えてからも素晴らしい伸び脚だった。相手(
フィエールマン)が強いことは、自分が乗っていたのでわかっていました」
そう話した石橋の右鞭に応え、最後まで伸びつづけた
シャケトラが先頭でフィニッシュ。
一昨年の
有馬記念(6着)以来、実に1年1カ月ぶりの実戦ながら、同年の
日経賞につづく重賞2勝目をマークした。
頭差の2着は
フィエールマン、3着は
メートルダール。結果として、3、4コーナーで外からマクるようにスパートした3頭が1着から3着までを占めた。馬場のいいところを、躊躇なく早めに動き、「勝つイメージ」を具現化させた石橋の好騎乗だった。
角居勝彦調教師は、調教停止明けの初勝利を重賞制覇で飾った。
また、
シャケトラの
父マンハッタンカフェは、中京第7レースで産駒の
JRA通算勝利数を史上4頭目の「1100」としていた。それを祝うかのように、
シャケトラが産駒としての1101勝目をプレゼントした。
(文:島田明宏)