昨年の
ホープフルSで2着に好走し、一線級相手でも互角に戦えることを示した
アドマイヤジャスタ。てっきり、重賞をメインにした王道路線を歩むのかと思っていたら、復帰戦に選択したのはオープン特別の
すみれS(24日=阪神芝内2200メートル)だった。
「前走で中山コースは経験したからね。(先々に向けて)少しでも距離を延ばしたい気持ちがあったのと、何より前哨戦で大きなストレスをかけたくなかった。そうなると長距離輸送がなく、頭数も揃わない、
すみれSがベストと考えたんだ」とは須貝調教師。
過去10年の
すみれSの平均出走頭数はわずか8.2頭。レース傾向を考えれば、
アドマイヤジャスタの参戦理由は理にかなったものと言える。
一方、「今年は2頭使い。どちらもダービーを目指していきたい素質がある」とは
キスラー、
サトノルークスの2頭を
すみれSに出走させる池江調教師。クラシック出走のための賞金を確保している
アドマイヤジャスタと違い、こちらは賞金加算を必要とする立場だが、昨年も1勝馬の
キタノコマンドールを
すみれSに参戦させて見事に勝利。クラシック出走を実現させている。
「調教でもいいタイムで走ってはいたけど、芝の実戦では走るフォームがまた違った。直線半ばからグッと体が沈んだからね。さすがは血統馬だな、という走りだった」とトレーナーが舌を巻く
キスラーの資質の高さは侮れない。
しかし、昨年の
キタノコマンドールのダービー出走は、
皐月賞の5着で優先出走権を獲得できたからであって、この一戦だけではダービー出走を確約できない。キャリア1戦の
キスラーに経験を積ませつつ、本線はすでに2勝を挙げている
サトノルークスでの賞金加算と記者はにらんでいるわけだが…。
「例年とは違う京都の芝状態が
ディープインパクト産駒に合うのかどうかは気になったけど、結果的には
ダノンチェイサー(
きさらぎ賞1着)でもこなしていたわけだし、おそらくは問題なかったと思う。回避した理由は、出走させるために必要な日数が単純に足りなかったから。疲れを取るまでに時間がかかって、帰厩させるタイミングが遅れたんだよね。
すみれSに目標を切り替えたことで、その部分に関してはクリアできたと思うし、少なくとも500万下を勝った前走の状態には持っていけると思う」と
きさらぎ賞を見送った理由を説明した池江調教師。
この一戦での賞金加算に自信があるからこその予定変更と考えるのは、裏読みし過ぎだろうか。
とにかく、GI2着馬を相手に賞金加算のミッション達成なら、クラシックの主役候補に名を連ねることになる。少頭数でも見逃せない一戦となりそうだ。
(松浪大樹)
東京スポーツ