新馬勝ち後は長らく伸び悩んでいた
エントシャイデンが、ここ3走の見違えるような連勝劇で一気に重賞=GIII
阪急杯(24日=阪神芝内1400メートル)まで上り詰めてきた。
“この血統なら当然”。きっと中竹調教師はそんな印象を持っているに違いない。なぜ管理しているわけでもない中竹師が?って…その答えはこの血統が日本に導入された経緯にある。
エントシャイデンの祖
母アジアンミーティアは、2001年のキーンランドセプテンバーセールでノースヒルズが購入。それに同行したのが中竹調教師であり、そこで世界を揺るがす大事件が起こったのだ。
「セリの2日目に9・11アメリカ同時多発テロが起きたんだ。で、セリが延期になって、ドバイとか各国から来ていたバイヤーたちは皆、帰ってしまった。改めて行われた翌日のセリで購入したのが
アジアンミーティア。本当は日本に来るような馬ではない、超の付く良血馬なんだよ。ちなみに僕自身も飛行機の便がなくなって、日本に帰るのにすごく苦労したのを覚えている」
種牡馬として数多くの活躍馬を出したアンブライドルズソングの全妹
アジアンミーティアは、こうした経緯で来日したのである。
世界的な良血を母系に持つ
エントシャイデンが、結果を出すのはある意味、当然。むしろ500万下で2桁着順を続けていたこと自体がおかしな話だった。
「もともと能力は高い馬だったんですが、とにかく集中力がなくて…。洋芝がいいかな、と思って連れて行った北海道では、内ラチのほうにばかり行こうとして、競馬にならなかったこともありました」(宮内助手)
それが3走前から舌を縛ったことで劇的に改善し、真面目に走るようになったというのだから競馬は面白い。
「レースに使うと歩様が硬くなる馬なんですが、この中間はそれもないですね。スピードがあるので、1400メートルの距離もいいと思います」
全姉
ブランボヌール(15年
函館2歳S、16年
キーンランドC)に次ぐ重賞Vとなれば、管理する矢作調教師はもちろんのこと、祖母購入の際に、米国で大変な苦労をした中竹調教師もきっと喜ぶことだろう。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ