GI馬5頭の競演となった第93回
中山記念のゲートが開いた。
展開の鍵を握る2番
マルターズアポジーがポンと飛び出し、ハナに立った。
ラッキーライラック、
エポカドーロ、
ウインブライト、
ステルヴィオがつづき、1コーナーへ。
1、2コーナーを回りながら、
マルターズアポジーが引っ張る馬群は少しずつ縦長になり、向正面に入って行く。
マルターズアポジーが単騎先頭。その後ろは3馬身ほどの間隔で、
ラッキーライラック、
エポカドーロ、
ウインブライトと連なっている。
ウインブライトの
松岡正海が予想し、また望んでいた展開になった。
「いい馬の後ろにつけたいと思っていたら、
エポカドーロが行ってくれた。その後ろの、いいところでレースができました」
ウインブライトの2馬身半ほど後ろに
ステルヴィオ、その1馬身半ほど後ろに
スワーヴリチャード、さらに2馬身ほど後ろの外に1番人気の
ディアドラがいる。先頭からここまで14、5馬身。さらに後ろに数頭が連なる縦長の展開になった。
前半800m通過は46秒7、1000m通過は58秒2というハイペースだ。
4コーナーを回りながら
ラッキーライラックが
マルターズアポジーに並びかけ、直線入口でかわして先頭に立った。
さらに外から
エポカドーロ、
ウインブライト、
ステルヴィオが末脚を伸ばす。
ラスト200m地点でもまだ
ラッキーライラックが粘っている。このまま流れ込むかにも見えたが、
ウインブライトの勢いが違った。最後の1完歩で首差
ラッキーライラックをかわし、
中山記念連覇を果たした。
「馬が成長しているので、自信を持って乗りました。今年はこの馬でGIを勝ちたいですね」と松岡。
3、4コーナー中間の勝負どころから、前の
エポカドーロとともに一気に進出し、トップスピードで直線に入った。そして、外から迫る
ステルヴィオらを寄せつけず、ねじ伏せた。まさに正攻法の競馬だった。
これで中山芝は【5-2-0-1】。中山芝1800mでは4戦全勝だ。
松岡の自信が馬に伝わったかのような快勝劇であった。
(文:島田明宏)