騎手や厩舎と同様、オーナーにも「勢い」というものがある。記憶に新しいところでは、冠号「サトノ」でおなじみの里見治オーナー(現在の名義はサ
トミホースカンパニー)が見せた2016年の快進撃。それまでなかなかGIを勝てなかったのに、
菊花賞の
サトノダイヤモンドで悲願を達成すると、
香港ヴァーズ(
サトノクラウン)、
朝日杯FS(
サトノアレス)、
有馬記念(
サトノダイヤモンド)と突如、昇り竜のようにGIを勝ちまくった。
今年、勢いに乗っているオーナーといえば、冠号ダノンで知られる「ダ
ノックス」だろう。
シルクロードSを
ダノンスマッシュで勝ったのを皮切りに、
きさらぎ賞(
ダノンチェイサー)、
共同通信杯(
ダノンキングリー)と、年明けからすでに重賞3勝を挙げている。
「ウチの
ダノンシャンティがオーナーにとってのGI初勝利(10年
NHKマイルC)だったんです。祝勝会をした時に“もうやめようと思ったこともあったんだ”とおっしゃっていましたから、かつては苦労されたことも多かったんだと思います」と教えてくれたのは松田調教師。
いいときもあれば、悪いときもある――。これこそが勝負事の流れ。今、いい流れがきている「ダ
ノックス」に今週も乗らない手はない…。といっても、この馬にとってはツキの助けなどいらないかもしれない。GII
チューリップ賞(3月2日=阪神芝外1600メートル)に出走する昨年の
最優秀2歳牝馬ダノンファンタジーのことだ。
「体が大きく増えたとか、そういう目に見えた成長こそないですが、まだまだ伸びシロを感じる馬ですね。前走(阪神JF1着)にしても、クリスチャン(デムーロ)が余裕を持って競馬をしてくれました。それだけ自信があったということでしょう。久々でも、牝馬らしい
テンションの持ち主で、競馬に行けば真面目に走ってくれますから。今回も持っている力はしっかり出してくれると思います」とは猿橋助手。
当然、「ダ
ノックス」の快進撃も意識しており、「すごいですよね。オーナーの流れにも乗っていきたいですね」
高松宮記念=
ダノンスマッシュ、
桜花賞=
ダノンファンタジー、
皐月賞=
ダノンキングリー、
NHKマイルC=
ダノンチェイサー。これだけでもすごいが、古馬王道路線では次週の
金鯱賞で
ダノンプレミアムが復帰予定。この豪華ラインアップが順調に駒を進めていけば…。春のGI戦線は空前の“ダノン祭り”になるかもしれない。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ