ロゴタイプが勝った2013年以来6年ぶりにフルゲートの16頭が揃った
皐月賞トライアル、第68回
スプリングステークスのゲートが開いた。
スタンド前で2番の
クリノガウディーがダッシュよくハナに立った。外から5頭ほどが並びかけて行くが、内枠を利して
クリノガウディーが先頭のまま1、2コーナーを回って行く。
クリノガウディーが引っ張る先行集団7頭の7番目が、
石川裕紀人の騎乗する
エメラルファイトだった。先頭からは6馬身ほど。
「多頭数をどうさばこうかと思っていたのですが、いいポジションにつけられました」と石川。
武豊が乗る1番人気の
ファンタジストは、そこから5馬身ほど後ろで折り合いをつけている。
1000m通過は60秒0。ゆったりとした流れになり、馬順はほとんど変わらないまま3コーナーへと入って行く。
4コーナーで、
エメラルファイトが、先に動いた
ディキシーナイトを追いかけるように、外から先行勢をかわしにかかる。直後に
ファンタジストが迫っている。
直線入口。
エメラルファイトが内の
ディキシーナイトに並びかけ、スパートする。
ラスト200m地点で、
エメラルファイトは石川の右ステッキを受けてさらに末脚を伸ばす。外からは
ファンタジストが追い上げてくる。
「いい手応えで直線に向いたのですが、手応えのわりに、坂がこたえたのか、苦しくなった。でも、外から来られたら、グンと伸びてくれた。この馬の根性に助けられました」
という石川の言葉どおり、
ファンタジストに迫られると、ラ
イバルの勢いを追い風にするかのようにもうひと伸びし、先頭でフィニッシュ。
ファンタジストの追い込みを頭差封じた。3着は、これもゴールまでともに叩き合った
ディキシーナイト。これら3頭が
皐月賞への優先出走権を獲得した。
デビュー6年目の石川にとって、これが2017年の
ラジオNIKKEI賞以来2度目の重賞制覇となった。
「馬体はそれほど変わってないのですが、精神面はすごく成長しています。所属する相沢(郁)厩舎の馬で勝てたことがすごく嬉しいです」
調教でもずっと跨ってきた馬との「共同作業」と言うべき勝利だけに、喜びもひとしおだろう。
2着に敗れはしたが、1200mの小倉2歳ステークスからひとハロンずつ距離を延ばしてきた
ファンタジストは、さらにもうひとハロン延びる
皐月賞に行っても上位争いできそうな可能性を充分感じさせた。
勝ちに行く競馬をして頭+首差3着の
ディキシーナイトは、いわゆる切れ負けした形だが、総合力の高さを見せつけた。
(文:島田明宏)