JRAから発表があったとおり、
モズカッチャンが急きょ引退、繁殖入りとなりました。
モズカッチャンは
大阪杯を視野に入れていましたが、右前脚に違和感が発見されまして。検査の結果は右前浅屈腱炎。タイミング的には、この春の種付けも間に合うということもあり、生まれ故郷の北海道日高町の目黒牧場に帰ってお母さんになることになりました。
現役バリバリの
モズカッチャンだけに、体は筋肉隆々。
ここ最近は顔も大きくなっていたそうで、担当の古川助手によれば
「これまで使っていたSサイズのメンコが小さくなったので、ちょうどMサイズを注文していたところ」
だったそうです。そのメンコを初めて使う日が、まさか別れの日になるとは思いもしませんでしたよね。ホント、何があるかわからないものです。
旅立ちの日、
モズカッチャンの顔の右側には黄色い小さなお守りがつけられていました。これは馬の無事を願うお守りで、普段から使っていたものだったそうです。
でも、当の
モズカッチャンは自分が繁殖入りするなんて全く気付いていない様子で。ちょうど調教時間中だったこともあり、自分もこれから調教に行くのだろうとキリリとした表情で北海道行きの馬運車を待っていました。
担当の古川助手はこの仕事に就いてすぐに
モズカッチャンを担当し、GI勝ちまで果たしたということもあり、ただただ彼女に感謝の言葉を重ねていました。
「僕はこの仕事に就く時、
有馬記念に出走させるのが夢だったんです。昨年末、それを叶えられて、牡馬相手によく頑張ってくれて。それ以外のレースも全てが貴重な体験でした。カッチャンには感謝してもしきれません」
調教パートナーの梛木助手も惜しそうに愛馬に別れを告げていました。
「ドバイ遠征が思い出深いです。あのメイダン競馬場のコースで調教できたことは財産です。
モズカッチャンが僕たちを連れていってくれたのがちょうど1年前になるんですね。近い将来、ぜひ生まれた子供に乗りたいですね」
今日21日の朝、
モズカッチャンは淡々と馬運車に乗り込み、栗東トレセンをあとにしました。いつかお母さんによく似た美しい競走馬がここにやってくるのを楽しみに待っています。
(取材・文:花岡貴子)