黒船賞は昨年に続いての不良馬場。昨年は単勝234.3倍という兵庫の
エイシンヴァラーが勝って波乱となったが、今年は1番人気に支持された
サクセスエナジーが勝利。メンバー中もっとも重い58kgを背負っての勝ちタイム1分26秒6は、2004年の
ディバインシルバー(1分26秒4)以来の1分26秒台の決着。最後、アタマ差まで迫られた牝馬の
ヤマニンアンプリメが54kgだったということでも、他馬を圧倒したといっていいだろう。
大井の
クレセントシティーが好ダッシュを見せたが、大外から何がなんでもという勢いでハナを取りにいったのが
サイタスリーレッド。不良馬場とはいえ、レース実況によると最初の400m通過が22秒8で、これはいかにも速い。昨年、
グレイスフルリープが暴走気味に22秒9で飛ばして5着に沈んだが、今回の
サイタスリーレッドもやはり3コーナーあたりから勢いをなくして7着に沈んだ。
高知の馬場は重や不良になると内が使えるようになることもあるが、この日はそれまでのレースでもラチから3馬幅ほどを空けてのレースとなっていた。それを意識してかどうか、最高にうまく乗ったのが
サクセスエナジーの
松山弘平騎手。3番枠からのスタートでも、行く気を見せた2頭を先に行かせ、すぐに外に持ち出した。2コーナーを回るあたりで
サイタスリーレッドの直後の外につけたが、スタートしてから最初の200mほどはあまり無理をしていない。
対照的だったのは2番枠の
テーオーヘリオスで、好位につけたものの内の砂が重いところに閉じ込められてしまい、3コーナーから後退してしまった。
1番
ヤマニンアンプリメの
鮫島良太騎手もスタートしてすぐ、2番、3番の馬を先に行かせて外に出そうとしていた。しかし4番の
ミサイルマンに寄られて内に押し込められ、さらに下げざるをえなかった。しかしそもそも
ヤマニンアンプリメは前に行こうというつもりもなく、前がハイペースになったことでも、中団よりうしろという位置取りは、結果的に悪い選択ではなかった。
4コーナー手前で
サクセスエナジーが単独で抜け出し、大外をまくってきた
ヤマニンアンプリメが迫ったものの、これをアタマ差で振り切って
サクセスエナジーの勝利。2着の
ヤマニンアンプリメから5馬身離されたものの、さらにうしろからレースを進めた
キングズガードが3着。勝った
サクセスエナジーは58kgを背負っていたことに加え、中団よりうしろからレースを進めた
ヤマニンアンプリメ、
キングズガードが2、3着に入ったことでも、その強さが際立つ結果だった。
サクセスエナジーは、これで昨年の
かきつばた記念、
さきたま杯に続いて地方のダート
グレード3勝目。ほかに
兵庫ゴールドトロフィーでもアタマ差2着があった。コーナーを4つ回る1400m戦は間違いなく得意の条件。そういう意味で今年のJBCは、すでに経験している浦和コースでもあり絶好の舞台といえそうだ。昨年、
東京盃では7着に負けていたように、今年も前哨戦の
東京盃で惨敗したとしても、本番では評価を落とさないほうがいい。
地方馬では、
エイシンバランサーと
サクラレグナムがハナ差で4、5着を争った。後者の
赤岡修次騎手は言わずもがな、前者の
下原理騎手も高知での経験は豊富なだけに、オーバーペースの前を追いかけてはいかず、ともに中団からレースを進めた。進出を開始したのは向正面の半ばから。4コーナー手前で両馬とも
サクセスエナジーの直後に迫り、ひょっとして、という場面はあった。ベストと思える騎乗をしたが、勝った
サクセスエナジーから6馬身ちょっとの差は、現状の能力差だろう。