空位となっているス
プリント王を狙う18頭が、第49回
高松宮記念のゲートを飛び出した。
もっとも速いスタートを切ったのは、2年前の覇者
セイウンコウセイだった。4番という内枠を利し、すんなりハナに立った。10番
ラブカンプーがつづく。15番
モズスーパーフレアは、これら2頭を外からじわっとかわし、ハナを取り切って3コーナーを回った。
前半3ハロンは33秒2、後半3ハロンは34秒1。同じく良馬場だった昨年は前半33秒3、後半35秒2。稍重だった一昨年は33秒8、34秒9。良馬場で1分6秒7のレコードが出た3年前は32秒7、34秒0。
乱ペースというほどではないが、淀みのない流れになった。
1番人気の
ダノンスマッシュは先頭から3馬身ほど離れた4、5番手。
福永祐一の
ミスターメロディはそれを外に見ながら、内で脚を溜めている。「いいところにハマることができました。初めての芝1200メートルで、スタートはよかったんだけど、じっとしていたら置いていかれそうなので、促していきました」と福永。
モズスーパーフレアが先頭のまま直線へ。
ラスト400メートル。まだ
モズスーパーフレアには余裕があるように見える。外から
セイウンコウセイが並びかける。これら2頭の間に
ミスターメロディは進路を取った。「直線に向くと、いいタイミングでスペースができた。慌てず、自分のタイミングで追い出しました。やりたい競馬ができた。最後は、馬が頑張ってくれれば、とだけ思っていました」
そう話した福永の右ステッキを受け、
ミスターメロディは力強く脚を伸ばした。
ラスト100メートルあたりで体半分ほど抜け出し、外の
セイウンコウセイと内の
ショウナンアンセムの追い上げを振り切り、先頭でゴールを駆け抜けた。
半馬身差の2着は
セイウンコウセイ、頭差の3着は
ショウナンアンセム。
ダノンスマッシュはそこから半馬身遅れた4着。2番人気の
モズスーパーフレアは15着に沈んだ。
今週の火曜日に世を去った、かつての騎乗馬
キングヘイローについて、福永はこう話した。
「レース後、思いました。
キングヘイローが後押ししてくれたのかな、と。そういうの、あるんですかね」
ダノンスマッシュは、課題とされていた左回りを克服し切れなかったのか。
モズスーパーフレアは、オーバーペースだったというより、一流馬からのプレッシャーで消耗してしまったように見えた。
(文:島田明宏)