2014年に新潟競馬場で行われた
スプリンターズS(GI)を13番人気で制した
スノードラゴン(牡11・美浦・
高木登)が、3月29日付けで競走馬登録を抹消し、およそ8年7か月に及んだ競走生活にピリオドを打つ。
「
高松宮記念(GI・17着)の結果は残念でしたけど、途中、他馬ともぶつかっていましたし、無事に帰ってきてくれたので良かったです」
高木調教師はホッとした様子だ。
今後は北海道新ひだか町のレックススタッドで種牡馬入りする予定で、「もちろん子供は走ってほしいですし、自分でも手掛けられればと思います」と師は第二の馬生にも期待を寄せる。
2007年に開業の
高木登厩舎に
スノードラゴンがやって来たのが2010年のことだった。
「8年半以上いましたし、開業してからずっといて共に歩んできたという感覚です。寂しくなりますね」
高木師にとっては、いわば家族に近い存在だったようだ。
「初GIを取らせてもらって、香港にも連れて行ってくれました。
スノードラゴンにはもう感謝しかないですね。もう好きなだけ食べていいよと馬には言っています(笑)」
師の言葉を受けて馬房に
スノードラゴンを訪ねると、ちょうど飼い葉を食べているところだった。
「無事(レースから)帰ってきてくれて、無事に送り出せるので安堵しています。それが1番ですからね」
担当の熊田学調教助手は、優しい笑顔で長年苦楽を共にした相棒を見やった。ふと顔を上げた
スノードラゴンだが、真っ白い顔を再び飼い葉桶に入れると、熊田さんの愛情がこもったご飯を美味しそうに頬張っていた。
3月29日(金)、
スノードラゴンは住み慣れた
高木登厩舎から北の大地へと旅立っていく。
(取材・文:佐々木祥恵)