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サートゥルナーリアを管理する角居勝彦厩舎・
辻野泰之調教助手
――改めてデビューからこれまでを振り返ってください。
辻野 お兄さんたちも角居厩舎で活躍してくれた馬だったのでもともと期待値は高かったんですけども、そのとおりの結果を出してくれているなと思います。
――中106日での戦いとなった経緯は?
辻野
ホープフルSで中山の2000mというコースと輸送を経験しましたので、前哨戦を使う必要はないだろうということでオーナーサイドと協議して決まりました。
――この中間の様子は?
辻野 レースの1か月前にこちらのほうに帰ってきまして追い切りも順調に進められています。先週の時点で息遣いなどもだいぶ出来ていているなぁという感触は得られていましたので、もう順調に調教を積んでこれていると思っています。
――最終追い切りはCWで
シャケトラ、
レッドウィズダムとの併せ馬でした。
辻野 先週はルメールさんに初めて乗ってもらったんですけども、2頭併せの後ろからというあまり刺激のないポジションでの追い切りでした。
ルメールさんは『
イージーコントロールで
パワーを感じる』ということだったんですけども、少し競馬で噛むところがある馬なのでそういったところも今日は感じてもらおうかと思いまして、少し後ろからの刺激の強い追い切りを行いまして、そのあたりをジョッキーに確かめてもらいました。
――実際の感触は?
辻野 「我慢できる?」と(
ルメール騎手に)聞いたときには『走りたいだけだ』『一気に加速してしまうわけではなくてジワッと加速していくような感じなので大丈夫。我慢できる』というコメントをいただきました。
――
ホープフルSとの状態の比較は?
辻野
ホープフルSのときよりは調教の内容も濃いかな、と思いますし、1週前の段階でしっかり体がはまってきているな、という感触もありました。馬の状態がしっかり出来てきているんじゃないかな、と思っています。
――前走はプラス12キロでした。成長分でしょうか?
辻野 はい、成長分と、やはり幾らか緩さがあったのかなという気はしているので。今回のほうが
シルエットを見ましてもシャープな体つきに見えますし、中身のほうも前走よりもしっかりしているのではないかと思っています。
――馬体重はマイナス体重でしょうか?
辻野 そうですね、少し減るのではないかと思っています。
――今回の舞台設定については?
辻野 コース形態については前走でクリアしてくれているんですけれども、今回は前走よりもさらに頭数が増えるのでこの馬の力を出し切れるような競馬になってくれればと思っています。
――この馬の力はここまで3戦で出し切っていますか?
辻野 正直、まだ3戦とも全力で走っていないと思っています。
――何パーセントくらいで走っていますか?
辻野 うーん、馬に聞いてみないとわからないところではありますが、8割くらいなのかな、という感触もありますし、もしかしたら8割も出していないかもしれないですし。ほんと底知れないポテンシャルは感じていますね。
――どんな能力が高い馬なのでしょうか?
辻野 やはりフィジカル面の強さというのが3歳のこの時期にはなかなかないものを持っています。メンタル面も冷静に走って、かつ人の指示にも素直に従ってくれるという本当に長所がすごく多い馬だと思いますので。ここまでの成績に表れているのではないかと思っています。
――上は気性面での課題もありましたが、この馬は?
辻野 この馬の初入厩以前から、お兄さんたちの危うさというのは我々厩舎一同は知っていましたので。本当に慎重にデビュー戦からここまで接してきているんですけれども。お兄さんたちとは違ってすごく冷静に調教でも競馬でも走ってくれるので、今までの兄弟の中では調整はしやすいな、と感じています。
――厩舎の皆さんがこの馬に込める想いは?
辻野 お母さん(
シーザリオ)もお兄さん(
エピファネイア、
リオンディーズ)も厩舎でGIを獲ってくれた馬なのでこの馬も、と思ってはいたんですけれども、本当にここまでお母さん以上、お兄さんたち以上の活躍をしてくれるんじゃないかという期待と夢を抱かせてくれる馬なので、その期待に応えてこれからも頑張って走ってくれたらいいな、と思っています。
――
クリストフ・ルメール騎手は「
皐月賞、ダービーいけます」とかなり強気ですが?
辻野 ラ
イバルも強力ですし1頭で競馬をするわけではないので、本当にこの馬の力を出せる競馬が見たいな、と思っています。
――最後にひとこと。
辻野 ファンの皆様も期待されていると思うんですけれども、厩舎一同、期待と夢を持ってこの馬の走りを見守りたいと思っています。応援よろしくお願いします。
(取材・文:花岡貴子)