今年のダービーの主役が
サートゥルナーリアであることは衆目の一致するところ。しかし、「競馬に絶対はない」のもまた事実。無敗の
皐月賞馬に土をつける馬はいないのか? そして負けるとしたら? 3紙の競馬記者に、今年のダービーの展望と
サートゥルナーリアの勝算、そして逆転の可能性を秘める馬についてうかがった。
【乗り替わりの影響は?】
D.レーン騎手が騎乗する
サートゥルナーリア。間違いなく1番人気に推されるほど本命視されている馬が、
皐月賞から鞍上をスイッチして臨むこと自体、“異常事態”であり、非常にまれなケースだ。その点について、まず言及してくれたのは福島民報の高橋利明記者。
「85年以来、乗り替わりで勝った人はいない。テン乗り(初騎乗)で、勝てば1954年の
ゴールデンウエーブ以来になる。そもそもダービーは有力馬の乗り替わり自体が少ない。有力馬は前走も良い走りをしているわけだから、わざわざ変える必要もない。有力馬のテン乗りなんて、
ハクタイセイ(1990年ダービー)以来かな」
“穴の万哲”こと、スポーツニッポン・小田哲也記者も相槌を打つ。
「だから、今回の乗り替わりはマイナスかな…とは思っていたけど、
京王杯SCや
ヴィクトリアマイルを見ていると話が変わってきた」
と、
タワーオブロンドンと
ノームコアで2日連続重賞制覇という離れ業をいとも簡単にやってのけた豪州の若武者に舌を巻く。鞍上に指名されたレーン騎手については、穴党を自負する東京スポーツ・山河浩記者も一目置いている。
「レース中に無駄なことをしない。マーフィー騎手にも少し似ている、日本に合うタイプの騎手。
サートゥルナーリアについても、レーン騎手になったマイナス面はないでしょう」
【
サートゥルナーリアが抱える不安要素】
圧倒的な支持を集めそうな
サートゥルナーリアだが、不安材料が皆無というわけでもない。血統的な面から懐疑的な眼差しを向けているのが山河記者だ。
「
ロードカナロア産駒だから距離が原因で負けるかも、という不安はある。
アーモンドアイがいるから距離不問の種牡馬という雰囲気があるけど、やはり産駒にはマイラーが多い。去年も
ステルヴィオはダメだった(8着)」
小田記者も同じく、血統に起因する気性面での不安を指摘する。
「
シーザリオの仔は引っかかるから、そこが不安要素。兄の
エピファネイアも、ダービーは福永騎手が大変そうだったし、スローになったら面白い。それに、
サートゥルナーリアにとって東京コースは初。昨年の
ワグネリアンの勝利も、
東スポ杯2歳Sへの出走経験があってこそ。東京を経験していないのは、大きなマイナス」
さらに山河記者は、もうひとつ不安材料をあげる。
「あと、気になるのは
皐月賞の勝ち方。3冠馬、2冠馬クラスの馬は、
皐月賞で0.4〜0.6秒突き放すことがほとんど。それに比べて
サートゥルナーリアはアタマ差。着差、タイム差だけが競馬ではないけど、ひとつの大切な指標という意味では物足りない」
【打倒
サートゥルナーリアの旗頭は?】
小田記者が注目しているのは、
皐月賞2、3着馬だ。
「僕は(
皐月賞2、3着馬の)逆転の可能性が、少しはあるんじゃないかなと。どちらも東京コースを使っているので、その強みもある。
ダノンキングリーはレースごとに距離延長がどうか? といわれたけど、中山マイルの勝ち方や
共同通信杯を見ていても問題はないんじゃないかな」
その
ダノンキングリーについて、高橋記者は少し異なった見方をしている。
「俺は、
ダノンキングリーは本質的にはマイラーだと思っている。中山のマイル戦で、あれだけ上手に競馬をして勝つぐらいだから。折り合いの不安がなく、戸崎騎手がいい意味で勝ちにいかなければ2着の有力候補だと思う」
一方の山河記者は、3強のなかでは
ヴェロックスに気がある様子。
「馬は
ヴェロックスが一番いいな、と。さらに上昇する可能性は十分。ほかでは、
アドマイヤジャスタとデムーロ騎手のコンビも面白い。
ホープフルSで2番人気2着なのに、今では“その他大勢”の扱い(苦笑)。デムーロ騎手もテン乗りだけど(笑)。ただ“大穴”として可能性があるのは、臨戦過程が昨年の
ワグネリアンに似ている
ニシノデイジーかな」
「
ハービンジャー産駒は消耗戦に強いイメージがある。ダービーが消耗戦になるかどうか、カギを握るのは
リオンリオン、
ヴェロックスあたりだろう」
と、展開面でもカギを握りそうな
リオンリオンを警戒するのは高橋記者。山河記者も、前走の
青葉賞の内容を高く評価。波乱の使者となる可能性を示唆する。
「前走の
リオンリオンは素晴らしかった。
トゥザヴィクトリーの牝系に
ルーラーシップという血統もスケール感十分ですし、波乱が起こる可能性もあるかと。ダービーで波乱を起こすのは逃げ馬が多いから」
リオンリオンに“穴党”として触手が動くのは、小田記者も同様のようだ。
「ダービーという大舞台で、逃げた
リオンリオンを誰が潰しにいけるのか? 『勝てる』と思っている陣営は、まず動けない。
リオンリオンは1着まで可能性がある馬だと思う。とくに土砂降りとかになれば、なおさら…」
果たして、令和最初の
日本ダービーを制するのはどの馬か? 運命のゲートは5月26日(日)15時40分に開かれる。
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