いよいよ今週からスタートする新馬戦。近年のクラシック出走馬が6月、7月開催の新馬戦を勝ち上がっていることもあり、年々、この時期に始動する2歳が増えている。レースに向けた追い切りの動きも何十年も前の同時期2歳に比べると、格段に良くなっている印象も受ける。
そして、今年も注目すべきは6月1日の阪神マイル。2017年を勝った
ケイアイノーテック(栗東・
平田修厩舎)が
NHKマイルCを制覇している。2013年は
レッドリヴェールが3連勝で阪神JFを制したり、2011年に勝ち上がった
アヴェンチュラが
秋華賞を制している出世レースだけに、今年はどの馬が勝ち上がるのか楽しみなところだ。
【6月1日(土) 阪神芝1600m】
◆
リアアメリア(牝、
父ディープインパクト、
母リアアントニア、栗東・
中内田充正厩舎)
父ディープインパクトの牝馬で
中内田充正厩舎、鞍上が
川田将雅騎手となれば、昨年の6月東京開幕週デビューの
ダノンファンタジーがイメージできる。その比較でいくと、個人的には同等かそれ以上、そんな雰囲気を感じている。
ゲート試験に合格した後はノーザンFしがらきでの調整を挟み、5月8日に栗東へ再入厩しているが、圧巻だったのは5月15日の坂路。前方で
オークスに向けた最終追い切りを行う
ダノンファンタジーが走っていたが、見た目の動きはこちらの方が良く見えたくらい。普段はチャカついて煩く見えるところもあるが、いざ走らせると真面目な気質がしっかりと伝わってくる。まずはデビュー戦、どんな走りを見せてくれるか楽しみ。
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ダイヤモンドライフ(牡、父
エイシンフラッシュ、
母オーシャンビーナス、栗東・
高柳大輔厩舎)
2017年セレクトセール当歳にて、5200万円で落札された
エイシンフラッシュ産駒。おじに
カンパニーや
ヒストリカルといったG1、重賞ウイナーがいる血統だけにこの金額での取引も納得。
個人的に
エイシンフラッシュの産駒は線の細さが気になる馬が多いが、本馬の体つきは素晴らしい。それだけに動かしてどうだろうと思っていたが、5月22日の坂路では4F51.8秒をマーク。2F目と3F目に12.6秒、12.1秒と速いラップを刻んだこともあり、4F目は13.4秒と大きく失速したが、むしろスピードがあることを示したという意味では中身のある動きと評価したい。鞍上は
D.レーン騎手が予定されている。
【6月2日(日) 阪神芝1400m】
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サイクロトロン(牡、父
ロードカナロア、
母キャレモンショコラ、栗東・
音無秀孝厩舎)
2018年セレクトセール1歳にて、6800万円で落札された
ロードカナロア産駒。母は現役時代に芝で2勝、ダートで2勝を挙げているが、距離は1200m以下。マイル以下が合いそうな血統だが、調教でもそういったところを見せつつある。
5月22日の坂路では4F52.5秒をマーク。2F24.9秒と後半がしっかり動いているが、併せ馬では相手を圧倒するような手応えで交わしていった。
パワーがありそうなタイプだし、単なるスピード馬というわけでもなさそう。ここの結果次第では距離を延ばしていくのか、縮めていくのかが決まってきそうだが、今後が楽しみになるような走りは見せてくれるはず。鞍上は
松若風馬騎手が予定されている。
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タイセイビジョン(牡、父
タートルボウル、
母ソムニア、栗東・
西村真幸厩舎)
母系には
ユートピアや
アロハドリームといった活躍馬がいる血統で、2017年セレクトセール当歳では1800万円で落札されている。
ハービンジャー産駒の半兄
ノストラダムスは芝の中距離で活躍しているが、父が違うこともあってか、こちらは短距離指向を示す調教内容になっている。
5月8日の坂路で4F目12.1秒をマークしたこともあり、そこから追い切りに注目することにしたが、5月22日の坂路では4F50.9秒。現時点で栗東に入厩している2歳馬では最速になる4F時計だから、そのスピード能力は相当高い。スタートを決めてしまえば、そのまま押し切れる可能性も十分。
(取材・文:井内利彰)