船橋競馬場で行われるSIII「
京成盃グランドマイラーズ」。まだ今回が22回目と比較的新しい重賞ではあるが、歴代優勝馬には
サプライズパワーや
ネームヴァリュー、
エスプリシーズ。
ナイキアディライト、セレン、
ソルテなど名馬たちが名を連ねており、注目度の高いレースだ。
船橋唯一のGIである「
かしわ記念」と同じ1600mというコースは、
地方競馬のなかでは広いスパイラルカーブと直線もそれなりにあって、どの馬も実力を発揮しやすいコース。強い馬が勝つという、比較的紛れのない競馬になりやすい。ただし、今年は2点ほど注意しなければならない
イレギュラーな点がある。
まずは、
中央競馬で明るみになった飼料に混入していた禁止薬物問題の影響で、船橋競馬でも同飼料を使っていた13厩舎が今開催の出走を見合わせることになった点。これにより事前に登録のあった
サウンドトゥルーや
リッカルドなどの強豪が出られなくなり、ひと波乱ありそうなメンバー構成になった。
そして2点目が本馬場の砂の全面入れ替えが行われ、今開催から新しい砂(砂厚は9〜10センチ)での実施になる点。砂が馴染むまでは時計にばらつきがあるが、前回、17年12月の入れ替え後は走りやすくなるためか、やや時計が速めになる傾向があった。
時計が速くなれば持ち時計の有無は重要なポイントのひとつになるが、月曜日の前半レースを見る限りは、時計が少々かかっている印象。こうなってくると馬格のある
パワータイプの台頭に注意が必要で、逆に華奢な牝馬やキレるタイプなどは苦しくなる。
そういった意味では内外の深さなど、馬場の伸びる場所がどこかを開催前半で注意して見る必要がある。また、入れ替え作業のため、1カ月近くは船橋競馬所属馬は内側の小さいコースでしか調教ができない。その点は多少割引材料となる。
以上を踏まえたうえで予想は組み立てたいところ。
過去のデータから見ると21回で船橋所属が16勝、他3場所属が5勝と地元勢が圧倒しているが、最近6年ではこれが3勝ずつと拮抗している点は注目に値する。性別では牡馬19勝、牝馬2勝でやはり牡馬が有利。年齢は、開催日が年によって6月や10〜12月だったりという違いはあるものの(10年から6月に固定)、4歳9勝、5歳4勝、6歳2勝、7歳以上6勝で4歳がリード。
また、近10年で顕著なのが優勝馬の半数の5頭が連勝でこのレースを制していること。「夏は格より調子」という格言が競馬にはあるが、近年は6月中旬にもなると気温が30度超えする日も多くなる。それだけに調子がいい馬、連勝中の上がり馬が台頭しやすいレースとなっていると考えられる。
ステップとしては
川崎マイラーズ組が4勝。同レースで上位ならば馬券に絡む可能性はかなり高い。
脚質では近10年で8勝が逃げ切りか、2番手追走から早め先頭で押し切る勝ち方。馬場の良し悪しに関わらず先行馬圧倒的有利な傾向となっており、追い込み馬には厳しい。
こうした傾向を考慮して、今年の出走馬をチェックしてみていただきたい。
(取材・文=「スポーツニッポン」記者・秋田麻由子)