一昨年は
日本ダービー馬の
ワグネリアン、昨年は
朝日杯FS&
NHKマイルCとGI2勝の
アドマイヤマーズを夏の中京でデビューさせた
友道康夫厩舎。今年も牡馬の期待馬を3頭スタンバイさせているが、これまで以上に“密度が濃い”布陣。注目せざるを得ない。
開幕週の土曜芝1600メートルで先陣を切る
ラインベック(
父ディープインパクト、
母アパパネ)は、3冠馬同士の配合で注目度は絶大。しかし、入厩当初の評価はさほど高くはなかった。とにかく気性が難しく能力を出し切れる状態まで持っていけるのか? その不安が拭えなかったからだ。
しかし、さすがは血統馬。担当する前川助手は「途中で走るのをやめたりしてたんです。あまりかわいがり過ぎるのもどうかと思って、先々週の日曜(16日)にビシッとしばいてみました。その効果なのか、先週あたりからちゃんと走るようになりましたね。福永騎手を乗せた1週前もいい動きでしたし、これならイケると思います」と前向きなコメントにシフト。相手次第にはなるが、おそらく勝ち負けだろう。
2週目の日曜芝2000メートルに出走する
マイラプソディ(
父ハーツクライ、
母テディーズプロミス)は個人的には一番期待をしている馬。とにかく馬体が素晴らしい。走るフォームも素晴らしい。藤本助手も「いや、本当にいい馬ですよ。来年は大きいところで…と思っているくらい」と絶賛していた。狙って間違いない馬だと思う。
なのに、ウッドで行った1週前追い切りでは前述した
ラインベックに併走遅れ。おいおい、どうしたのよ? 少し心配したのだが、実はこれにも理由がある。
「僕がリードし、(福永)祐一さんの
ラインベックが2番手。その後ろを
サヴォワールエメ(
ラジオNIKKEI賞出走予定)という形の併せ馬。いい感じで走っていたんですが、僕の後ろに祐一さんが迫ってきた瞬間、フワッとして急ブレーキをかける感じに…。落馬とまではいかないまでも、それに近いくらい。その状況から改めて加速させるのもかわいそうですからね。だから、あえて無理はさせなかった」
同助手はこう続ける。「能力に関する話ではないし、そのような面があることが競馬の前にわかって、むしろ良かったと思ってるんです。それを矯正する時間はありますからね」
鞍上に指名された
武豊は今週の1週前追い切りに騎乗予定。初コンタクトから大絶賛し、来年のダービー騎乗馬はこの馬を指名するのではないか? そんな妄想をふくらませているところだ。
最終週の日曜芝2000メートルを予定している
ジュンライトボルト(
父キングカメハメハ、
母スペシャルグルーヴ)も後述する機会とたくさんの行数が欲しいくらいのレベル。現在は函館に出張中の安田助手が「切れるタイプじゃないかもしれないけど、
パワーがあって走りそう」と言っていた馬で、先月発売の本紙「ザッツPOG」では記者も厳選5頭の中で推薦している。曽祖母に
エアグルーヴがいる母系は、どこから大物が出ても不思議のない素晴らしい血統。こちらも追いかけて損のない馬だろう。
(松浪大樹)
東京スポーツ