先週の
七夕賞は
ミッキースワローに騎乗した
菊沢一樹がデビュー4年目にしてうれしい重賞初V。一方、西の
プロキオンSは
アルクトスを送り出した
栗田徹調教師が開業9年目にして初タイトル奪取と、フレッシュな風が東西のターフを駆け抜けた。加えれば、
七夕賞0秒1差2着=
クレッシェンドラヴを送り出した
林徹調教師も開業2年目。終わってみれば、若きホースマンの奮闘が大いに目立った1週間だったと言えよう。
そこでふと思い出したのが、今春に開業してはや2勝を挙げた
加藤士津八調教師のこんな言葉である。
「初勝利を挙げた
アオイテソーロも2勝目の
ブーケオブジュエルも、“これは勝てる”という自信を持って送り出したわけではないんです。やれることはやって送り出した結果、いい形に結びついたという感じで…。それでも思うのは目の前のことをひとつひとつ積み重ねていけば、巡り合わせでいつかチャンスが巡ってくるということ」
ひょっとすると伸び盛りの若手にとって、その“巡り合わせ”こそが夏のローカルシーズンかもしれない。GIを狙うトップキュウ舎にすれば、今は秋に向けた仕込み時期。一方、騎手サイドに目を向ければ、短期免許で来日する外国人ジョッキーは不在。加えて北海道シリーズが始まりリーディング上位が分散することで、夏場は若手の騎乗機会がグンと広がる。先週の結果を見直せば、その傾向は実に顕著である。
障害3競走を除く計69レースで、いわゆる若手騎手(デビューから7年目未満)が挙げた勝利数は11。馬券圏内(3着以内)となると延べ51人が馬券に絡んでいる。特筆すべきは中京で16鞍に騎乗して2勝、3着3回を果たしたデビュー2年目の
西村淳也か。その奮闘たるや称賛に値しよう。
「今のままでは重賞で依頼を受ける騎手には絶対になれない。現状に満足せず、自分の殻を大きく破りたいんです」
かつて宴席で当方にこう語ったのは
武藤雅。
関東オークスで重賞初V、先週の米GIベルモント
オークス招待で
ジョディーに騎乗し4着と、その決意は実を結びつつある。むろん、今こそ秋に向けたアピールの絶好機。彼ら若きホースマンの“アツい”戦いに今週も注目して損はないはずだ。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)
東京スポーツ