梅雨明けが間近に控えて夏本番。いよいよ今週からは札幌・新潟・小倉競馬が開幕する。
昨年の3場の新馬戦を振り返ると、開幕週の札幌では
クラージュゲリエ(
京都2歳S)がデビュー勝ちを収めていた。そして開催を通じては新潟からは
ロジャーバローズ(ダービー)、
レッドアネモス(
白百合S)らが、小倉からは
ヴェロックス(
若葉S)、
クロノジェネシス(
クイーンC)ら後の牡馬・牝馬クラシック路線の中心となる馬たちが初戦を突破していた。
今年も有力な2歳馬が勢ぞろいであることは間違いなく、夏への楽しみが、いや来年の春への楽しみが日に日に強くなるばかりである。
【7月27日(土) 新潟芝1600m】
◆
スマイルカナ(牝、
父ディープインパクト、
母エーシンクールディ、美浦・
高橋祥泰厩舎)
2018年のセレクトセールに上場され、取引価格は6048万円。母の弟妹に
エイシンヒカリ(
香港C、イスパーン賞、
毎日王冠、
エプソムC)、
エイシンティンクル(
関屋記念3着)がいる。7月3日、10日、17日と芝コースで追い切りの本数を重ねており、素軽い動きが目につく。
3週連続で手綱を取った
柴田大知騎手は「気持ちが焦りやすいところに気をつけながらソロッと乗っているけど、ディープ産駒の小柄な牝馬らしく手先が軽いですね。弾むような走りをするし、シュッと反応します。新潟の軽い芝は合いそうだし、初戦から楽しみです」と好感触を掴んでいる。
【7月28日(日) 新潟芝1800m】
◆
コウソクスピード(牡、父
ヴィクトワールピサ、
母メジロコウミョウ、美浦・
中舘英二厩舎)
2018年のセレクトセールに上場され、取引価格は3456万円。3代母が
メジロドーベル(
エリザベス女王杯の連覇などGI5勝)、一族からは
ショウナンラグーン(
青葉賞)が出ている。ゲート試験に合格後はノーザン
ファーム天栄で乗り込み、6月下旬に再入厩。先週の追い切りは芝コースで古馬と併せ、この父の産駒らしく大きなフットワークで駆け抜けた。
「春に入厩した当時は馬格のわりに薄っぺらいところがあったけど、牧場で乗り込んで全体的にガッシリとしてきた。楽に動けているし、乗り味や反応もいい。だいぶコントロールが利くようになっているし、血統的にも素質の高さを感じています」と
中舘英二調教師。鞍上は
石橋脩騎手を予定している。
【7月27日(土) 札幌芝1500m】
◆
アルファウェーブ(牡、父
Gleneagles、
母Waveband、美浦・
藤沢和雄厩舎)
父は英・愛の2000ギニーなど芝7-8FのGIを4勝した。叔父には
Muarrab(
ドバイゴールデンシャヒーン)がいる。美浦でゲート試験に合格後はノーザン
ファーム天栄で乗り込み、7月6日に札幌入り。先週は本馬場(芝)で追い切られ、古馬の
ラボーナと併せた。「お父さんも2歳戦から走っていたし、仕上がりが早そうな血統。馬格も立派だし、いいスピードがありそう」と
藤沢和雄調教師。鞍上は
C.ルメール騎手を予定している。
【7月28日(日) 札幌芝1800m】
◆
ヒシエレガンス(牡、父
ハービンジャー、
母ヴェルザンディ、美浦・
堀宣行厩舎)
2017年のセレクトセールに上場され、取引価格は4968万円。伯父に
ディープインパクト(GI7勝)、
ブラックタイド(
スプリングS)らがおり、一族からは
レイデオロ(GI2勝)も出ている。先週の7月17日に美浦のポリトラックコースで追い切りを済ませ、翌日に札幌競馬場へ輸送した。
「ゲート試験に合格後も在厩して乗り込んできました。まだ集中力を欠くなど幼いところがあり、心身ともに成長途上の段階。それでも順調に調教を消化していますし、現状の力を出せる状態にはあると思います」と森調教助手。鞍上は今週のデビューなら藤岡康太騎手を予定しており、状況次第で翌週の芝1800mに回る可能性もある。
◆
マイネルブラシウス(牡、
父スクリーンヒーロー、
母コスモバルバラ、美浦・
尾関知人厩舎)
母は通算4勝、
マーメイドS2着など活躍した。叔母に現4勝の
アンネリースがいる。前週の福島も視野に入っていたが、万全を期して札幌の開幕週に照準を定めた。18日、21日と函館競馬場のウッドチップコースで順調に時計を出しており、いい雰囲気に仕上がっている。
「男馬にしては繊細な部分があるけど、輸送後もしっかりと乗れているし、いい動きをしている。気持ちが前向きだし、初戦から動けそうなタイプ。血統的なイメージからは洋芝も合いそう。いいところがありそうです」と
尾関知人調教師。鞍上は
丹内祐次騎手を予定している。
(取材・文:竹之内元)