2019年7月30日、史上2頭目の無敗の三冠馬・
ディープインパクトが17歳でこの世を去った。現役時代はすべての国内レースで上がり最速をマークする圧倒的な末脚を武器に通算14戦12勝という成績を残し、GI勝利は「7」を数えた。また、種牡馬としてもその強さを産駒に伝え、5頭のダービー馬をはじめ多くのGIホースの父となり、既に産駒の
JRA・GI勝利数は「51」。現役時代と同様に、日本競馬界を牽引してきた。
今回はこの稀代の名馬への追悼企画として、新馬戦からラストランとなった
有馬記念まで、
ディープインパクトの現役時代全14戦を改めて振り返る。
■直線入り口で先頭、後は突き放すのみ
2005年の
JRA賞年度代表馬に輝いた
ディープインパクトが2006年の始動戦に選んだのは
阪神大賞典だった。ここにはその後名ステイヤーへとなっていく同世代の
トウカイトリック、
有馬記念からの再戦となる
デルタブルース、ダービー2着馬の
インティライミが出走した。
やや出遅れ気味のスタートとなった
ディープインパクトは9頭立ての後方2〜3番手を進む。
トウカイトリックが逃げる展開となったこの年の
阪神大賞典。
トウカイトリックはさらに差を広げ向正面では大逃げの形となる。2番手
インティライミから3番手
デルタブルース、3番手から4番手
ファストタテヤマの間にも差があり、長距離戦ということを加味してもかなり縦長の隊列となった。
ディープインパクトが動いたのは第3コーナーより手前。中団の各馬を交わすと、
武豊騎手がほとんど手綱を動かすこともなく第3〜4コーナーでは先行勢も飲み込む。直線入り口で早々に先頭に立つと、あとは突き放すのみ。最終的に
トウカイトリックに3馬身半差をつける圧勝。勝ちタイムは3分8秒8(稍重)。最後の200mは
武豊騎手が数度、後ろを確認する余裕もあるほどの圧巻の勝利だった。