史上2頭目の無敗三冠馬
ディープインパクトの急死から一夜明けた31日、栗東トレセンで共同記者会見が行われ、
武豊騎手(50)=栗東・フリー=が自身の思いを語った。競走馬の死に関して、会見が開かれるのは極めて異例。いかに規格外のスーパーホースだったのかを、改めて多くのファンに印象づけることとなった。
日本競馬界の至宝
ディープインパクトの急死-。31日、急きょ栗東トレセンで異例の共同記者会見が行われ、主戦を務めた
武豊が「特別な馬で、僕にとってのヒーロー。ともに過ごせた時間はすごく幸せでした。出会えて良かった。“ありがとう”と言いたいです」と惜別の言葉を紡いだ。
前日の29日には、関係者から生死に関わる深刻な状況だと伝えられていたという。「かなりショックでしたね。何とか無事に、と祈るような気持ちでした」。30日、帰阪便に乗るために新千歳空港の搭乗口にいたが、訃報を聞いて急きょ便をキャンセル。病理解剖で既にディープがいないのは分かっていたが、社台スタリオン
ステーションに向かい、馬房に手を合わせた。
「間違いなく、当時世界一強かった」。今でもその思いは変わらない。それだけに、消えることのない後悔もある。「
凱旋門賞ですね。世界一強い馬、勝たないといけないと思っていた。獲れなかったのは大きな悔しさとして残っている」と打ち明ける。新たな夢は、遺伝子を受け継ぐ子どもたちに託す。「ディープの産駒で勝ちたいという気持ちはある」と力を込めた。
ベストレースは「やっと手の内に入れることができたと思った」と振り返る、06年
有馬記念の有終Vだ。「最強のままターフを去った。種牡馬としても最強のまま突然の終わりだったので、現役引退と同じ感じがした。日本だけじゃなく、競馬を変えた馬。まだ彼の遺伝子は残されている。また、ディープのような馬は現れると思う」。その時を信じ、亡き相棒への感謝を胸に戦い続ける。
提供:デイリースポーツ