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【門別競馬情報】9年ぶり史上5頭目「三冠馬」!堂山芳則厩舎リンゾウチャネル、ピンチ乗り越え快挙/地方競馬情報

  • 2019年08月06日(火) 18時00分
 門別1800mのゴール直前、迫り来る2着馬の蹄音。「踏ん張ってくれ」。鞍上・五十嵐冬樹騎手の願いは何とか通じ、逃げ粘る二冠馬リンゾウチャネル(牡3・堂山芳則厩舎、父モンテロッソ)が、シベリアンプラウド(牡3・田中淳司厩舎、父トーセンホマレボシ)の猛追をクビ差振り切り、「第40回 王冠賞H2」を制した瞬間、ホッカイドウ競馬史上5頭目、2010年に牝馬で初めて達成したクラキンコ(堂山芳則厩舎父クラキングオー)以来9年ぶりとなる「三冠馬」が誕生したーー。

 管理する堂山芳則師は、2001年ミヤマエンデバー(牡、父ダミスター)と合わせ、何と3頭目の三冠馬トレーナーに。ホッカイドウ競馬デビューの“生え抜き”では史上初めての「2000勝ジョッキー」鞍上・五十嵐冬樹騎手も、ついに「三冠ジョッキー」の称号を手に入れた。

 さらに、リンゾウチャネルは、2016年度からホッカイドウ競馬が制定している「3歳馬三冠褒賞金」の初受賞馬となり、木谷ツヤ オーナーに2000万円が贈られた。同報奨金に関しては、創設された2016年にスティールキングが、翌2017年に岩手ベンテンコゾウが王手を掛けてこの王冠賞H2に挑んだのが、それぞれジャストフォファンスーパーステション(いずれも鞍上は阿部龍騎手)に達成を阻まれ、贈呈が持ち越しとなっていた。4年目にして遂に受賞馬が現れ、全国の馬主層等への大きなアピールともなりそうだ。

 本題に戻ろう。

 3歳となった今季、リンゾウチャネルはオープニングデー4月17日の初戦からすべて余裕残しの快勝で4連勝。一冠め・北斗盃H2は2着馬に3馬身、二冠め・北海優駿(ダービー)H1でも同じく3馬身差で完勝し、レース後、堂山師が「一番心配していたのは内回り(1600m)の北斗盃。そこをクリアしてくれて、今夜(北海優駿)はそれほど心配せずに見ていられた。今回2000mで、次(王冠賞)は1800mだからね。相手関係もそんなに変わらないなら、何とかなるでしょう」との見立てを披露してくれるほど、圧倒的な能力差を見せての「二冠」達成だった。

 ところが、その先に「試練」が待っていた。

 細かくは語ってもらえなかったものの、堂山師によると、実は北海優駿(ダービー)前から幾らか脚元を気にしながらの調整だったとのこと。そしてダービー後。この中間は「寝違えだとか色々とアクシデントも重なってしまって」周回コースで強めの負荷を掛ける厩舎本来の調教パターンを採れず、やむを得ず日々坂路で攻め馬を重ねる選択をしたそう。その坂路での追い切りも、北海優駿(ダービー)直前の6月16日には11秒8-11秒7-13秒1(3F=36秒6)で駆け上がっていたのが、今回王冠賞直前の7月28日は13秒1-12秒3-13秒0(同38秒4)どまりだった。

 比べれば、その違いは明白。三冠達成後に堂山師が「使えないかも、と思うこともあった」と話し、優勝騎手インタビューで五十嵐冬樹騎手が「二冠の疲れもあったみたいで、よくこの状態で、本当に三冠獲ってくれたと思って…」と男泣きするほど、関係者全員がダービー以降、苦心を重ねての快挙達成だったのである。

 この王冠賞H2は、地方競馬全国協会(NAR)が企画する「3歳秋のチャンピオンシップ」開幕戦。今年からJBC競走への参戦を促す狙いも込め、昨年までの11月下旬から今年は10月6日(日)に前倒しされた岩手競馬「ダービーグランプリM1」で更なる「褒賞金」獲得も狙える権利を掴んだが、堂山師は、何とか試練を乗り越えてくれたリンゾウチャネルにまずは英気を養ってもらうことを即決。回復度合いによっては、相手関係も見ながらダービーグランプリに挑む可能性もあるが、決しては無理はさせず、地元戦をひと叩きして園田の楠賞(11月14日)あたりを目指す考えもあるという。

 猛暑下での続戦を避け、夏場を全休することで、秋には更に「速くて強い」魅力を増したリンゾウチャネルの走りがみられるのではないか。戦列復帰の時を、今から楽しみに待ちたい。

※なお、今週の門別グランシャリオナイター開催は、きょう6日から3日間の予定です。今週も、馬産地ナイター競馬をお楽しみ下さい!

(文=ひだか応援隊)

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