ゲートが開き、出遅れた
ハッピーアワー以外はほぼ五分のスタートを切った。
1番人気に支持された
川田将雅の
ダノンスマッシュも好スタートを切り、内の馬たちを行かせて中団の外におさまった。
「前がけっこう速かった。そのなかでリズムよく追走することができました」と川田。
ナックビーナスと
ライオンボスが並走する形で馬群を引っ張り、メンバー中唯一のGI馬である
幸英明の
セイウンコウセイが3番手につけた。
「イメージどおりのポジションで競馬ができました。斤量の差ですかね。それでも最後まで止まっていませんでした」と幸。
4コーナーで馬群が凝縮され、先頭を行く2頭を、
セイウンコウセイが外からかわしにかかる。その外からリサ・オールプレスの
ダイメイフジが進出し、
ダノンスマッシュはそのさらに外を回ることになった。
「4コーナーの形はあまりよくなく、外に張り出されて苦しい形になった。それでも(前の馬たちを)つかまえてくれた。あらためて能力があることを確認できました」
川田はそう振り返る。
クリストフ・ルメールが乗る
タワーオブロンドンは、直線に向くまで最後方に近いところにいたが、馬群のなかから巧みに抜け出し、先頭をうかがう。ルメールはこう言う。
「スタートして1、2歩目で躓いた。それからは冷静で、最後はすごい脚だった。1200mは2回目。これで負けたらしょうがない。すごくいい結果だった」
ラスト200m単独で先頭に立った
ナックビーナスが後続を突き放しにかかる。
ラスト100mでもまだ残りそうに見えたが、外から
ダノンスマッシュが猛然と脚を伸ばし、その外から
武豊の
リナーテが
ライトオンキューを引き連れて伸びてくる。
「いいスタートを切って流れに乗った。勝ち馬をマークする位置で進めたが、追いつけませんでした」と武。
先頭でフィニッシュしたのは、馬場の真ん中から伸びた
ダノンスマッシュだった。その内から来た
タワーオブロンドンが3/4馬身差の2着、外の
リナーテがハナ差の3着と、人気順で決着した。
囲み取材に応じた安田隆行調教師によると、
ダノンスマッシュはこのあと在厩で調整し、
スプリンターズステークスを目指すという。
GI奪取に向け、
ダノンスマッシュが底力で夏を締めくくった。
(文:島田明宏)