ヴィクトリー(07年
皐月賞)、
カンパニー(09年
天皇賞・秋、
マイルCS)のGI3勝を含む重賞18勝を挙げた近藤英子オーナー。その全ての勝利は結び付きの強い音無キュウ舎の管理馬でマークしたものだ。
確かに音無キュウ舎への預託が多いのは事実だが、最初は名門・小林稔キュウ舎に預けていたように記憶しているし、最近は関東所属の馬も少なくない。実際、重賞を勝ちそうな雰囲気の馬も過去にはいた。それでも結果は前述の通り。オカルトの類いかもしれないが、勝負事はこのようなことが意外に重要だったりする。
しかし、そんな近藤英子オーナー絡みのオカルトチックな話は、この秋シーズンで終わりになるだろう。気の早い話で恐縮だが、
秋華賞を勝つのは角居キュウ舎の
エスポワール。中京で2勝クラス(
シンガポールTC賞)を勝ち上がり、本番までひっそりと待機する彼女が前述の話をまとめてひっくり返すと思っている。
え?レースの1か月以上も前に、仮にも本紙予想をしている人間がそんな宣言する必要があるのかって?もちろん、そんな必要は全くないのだが、そう思ってしまうほどの景気のいいコメントがバンバン飛び交い、それにふさわしい結果も出てしまっている。とてもじゃないが、この前向き過ぎる状況を黙っておくことができないのだ。
「休養から戻って乗ったときに“これは(条件クラスを)2つ勝って
秋華賞に行くことになるだろうな”と思わせるほどの劇的な変化を感じて、結果もその通りになった。成長を促す休養が大きかったとはいえ、ここまで一変して帰ってくる馬はなかなかいませんよ。強い相手と走る
秋華賞はわかりませんが、無事なら確実に重賞を勝てる。それくらいのものを持ってます」
どちらかといえば控えめな辻野助手が、ここまでハッキリと言い切るのは珍しく、最近では
サートゥルナーリア以来ではないだろうか。
オークス馬
ラヴズオンリーユーを筆頭に春の勢力がデンと構える一戦なら、人気になるはずもない。というわけで、早くも10・13
秋華賞が待ちきれない記者なのである。
や、ちょっと待てよ。もしかしたら、
秋華賞TR・GIII
紫苑S(7日=中山芝内2000メートル)に出走してくる同じ角居キュウ舎の
グラディーヴァが「近藤英子オーナーの音無キュウ舎所属馬以外での重賞制覇」を先に達成してしまうかもしれない。1番人気に支持された前走の
白百合Sは伸びそうで伸び切れない6着に終わってしまったが、敗因は道中で力んで走ってしまったこと。
「それで放牧に出して立て直すことにしたんです。
エスポワールのような“劇的な変化”までは感じませんけど、幼さの抜けた馬体になってきましたし、重賞メンバーでも走れそうですね。そもそもが“レースセンスの良さ”をセールスポイントにしていた馬。スムーズな競馬をして本番への権利(3着まで)を取ってほしいです」
辻野助手の口ぶりに巻き返しの可能性が感じられたとなれば…。まずは今週、こちらのほうで財布を膨らまさせてもらおうかと思っている。
(栗東の本紙野郎・松浪大樹)
東京スポーツ