新馬戦は自ブロック制度は関係なく、東西五分に出走できるだけに、栗東所属馬も中山競馬場への遠征を積極的に検討する陣営も多い。今週、来週とそんなパターンが増えそうだが、デビュー戦を中山芝1600mで勝っておくと、後々に中山マイルの重賞で好走する、なんてことは多々ある。
2016年の4回中山開催の3週目で芝1600mをデビュー勝ちした
ライジングリーズン(
父ブラックタイド)はそのタイプ。3歳になって
フェアリーSで重賞を制し、
アネモネSでは1着で
桜花賞の優先出走権も手に入れた。ト
リッキーなコース設定だけに、それをデビュー勝ちするということはよほど適性があるということだろう。
【9月21日(土) 阪神芝1600m】
◆
アドマイヤチャチャ(牝、
父ディープインパクト、
母ホットチャチャ、栗東・
友道康夫厩舎)
半兄は同じ
友道康夫厩舎で管理されている
エタリオウ(
父ステイゴールド)。
菊花賞2着など、重賞で4回の2着はあるものの、未だに1勝しか挙げていない。なかなか勝ち切れないところは、普段の追い切りでも併せ馬で地味な動きになるところが影響しているような気もするが、妹はどんな動きをするか注目していた。
9月12日のCW。レースでも騎乗する
C.ルメール騎手が跨って、3頭併せを最後方から追いかけたが、4コーナーあたりから促しつつ、進出していくも、なかなか前を射程圏に入れるところまでいかない。結局、直前にいた
ワールドプレミアとの差は詰まらないままに終わって遅れ。6F82.9秒という時計は決して悪くないのだが、動き自体は地味に映った。最終追い切りになったからといって、この動きが変化する感じはないだけにあとはレースでどんな走りを見せるかだろう。
◆
セウラサーリ(牝、父
オルフェーヴル、
母サマーナイトシティ、栗東・
西園正都厩舎)
半兄に
マイルCSを勝った
サダムパテック(
父フジキセキ)、半姉にヴィクトリアMを勝った
ジュールポレール(
父ディープインパクト)がいるが、いずれも
西園正都厩舎で管理されており、担当者も同じという楽しみな環境にある良血馬。
西園正都調教師は「どちらかといえば、パテック似」ということなので、2歳から動けるタイプなのかも知れない。それを予感させる動きが9月4日のCW。これが初めてのトラック馬場での追い切りだったが、3頭併せで道中で速いラップを踏んだにもかかわらず、最後まで踏ん張って、6F79.0秒。ラスト1Fは13.4秒だったが、数字よりは余裕のある動きだった。9月12日の坂路は遅い時計になっているが、やれば動くのは分かっているだけに、もう速い数字は必要ないだろう。鞍上は
幸英明騎手が予定されている。
【9月22日(日) 阪神ダート1400m】
◆
タガノハイライト(牝、
父パイロ、
母タガノイノセンス、栗東・
斉藤崇史厩舎)
半姉たちは
JRAで勝利を挙げることができなかったが、母は現役時代に芝で3勝、ダートで1勝を挙げており、決して血統的に走れないわけではない。ただ、父が
パイロになった分、中距離で活躍した母よりは距離適性が短いかも知れない。
レースに向けた追い切りは坂路で行われているが、9月4日、9月11日とも、古馬1勝クラスとの併せ馬でいずれも先着。4日は2F25秒を切っており、11日は一杯に追われたこともあって、1F12.3秒の伸び。
斉藤崇史調教師も「これなら初戦から楽しみですね」と手応えを掴んでいる。鞍上は追い切りにも騎乗している
団野大成騎手が予定されている。
【9月22日(日) 中山芝1600m】
◆
サトノジヴェルニー(牡、父
Siyouni、
母Bal de La Rose、栗東・
音無秀孝厩舎)
父は日本で聞き慣れないが、フランスでG1を勝ち、種牡馬としても、仏ダービーを勝った
Sottsassや仏1000ギニーを勝った
Ervedyaを輩出している。本馬については「
Siyouniが1400m以下での勝ち鞍しかなかったように、この馬も体型的には短い距離がいいと思っています。ただ、デビュー戦からそういった距離を使ってしまうと今後距離を延ばすのも難しくなると思うので、まずはマイルから」と
音無秀孝調教師。
追い切りでの動きはスピードがあるところを見せており、9月11日の坂路では4F52.3秒をマークしており、4F目が最も速いラップを踏んで12.4秒。この動きを見ても、単なる短距離馬ではなく、距離対応できそうなスピード馬であることは間違いない。鞍上は
福永祐一騎手が予定されている。
(取材・文:井内利彰)