8頭立ての少頭数ながら好メンバーの揃った
神戸新聞杯のゲートが開いた。
圧倒的1番人気に支持された
クリストフ・ルメールの
サートゥルナーリアは速いスタートを切り、出たなりのまま外の
シフルマンを先に行かせ、2番手につけた。「今日はいいスタートだった。前に馬が必要でしたが、向正面に入って
リラックスして走っていました」とルメール。
シフルマンの1馬身半ほど後ろを、掛かり気味にも見える手応えで進んだ。
ウオッカで
ジャパンカップを勝ったときもそうだったように、行きたがる馬でポジションを取りながら折り合わせる技術は、ルメールならではのものだ。
直後に
レッドジェニアル、
川田将雅が乗る2番人気の
ヴェロックスは4番手。
武豊の3番人気
ワールドプレミアは、先頭から8馬身ほど離れた後方で脚を溜めた。
1000m通過は1分3秒4。小雨が降っていたが馬場状態に影響するほどではなく、良馬場にしては遅くなったのは、やはり少頭数ゆえか。
3、4コーナー中間地点で
サートゥルナーリアが外から持ったままの手応えで
シフルマンに並びかけた。そして、ラスト600m地点で先頭に立ち、内に
シフルマンを従えて直線に入った。
サートゥルナーリアが楽に抜け出し、ルメールは手綱をしごくだけのノーステッキで加速。
ヴェロックスが追いすがり、
ワールドプレミアが追い込んでくるが、直線なかほどで勝敗は明らかになった。
ルメールはゴール前で後ろを振り返り、最後の10完歩ほどは流すようにして、2着を3馬身突き放した。
「今日は彼の強さを出してくれました。3、4コーナーから大外に出て、徐々に加速していい脚を使いました。スタート前から
リラックスして、ゲートのなかでも落ち着いていました。大きなレースではスタートが大事。スーパーホースだと思います」
ルメールはパートナーを絶賛する。
半兄の
エピファネイアのように、掛かり加減の手応えのまま長い距離をこなしてしまうタイプのように思われるが、
菊花賞へは向かわず、
天皇賞・秋や
ジャパンカップなどを視野に入れているようだ。
無敗の三冠制覇も期待されながらダービーで4着に敗れた
サートゥルナーリアがあらためて強さを見せ、見事に復権した。
(文:島田明宏)