実績より期待のほうが大きくなりつつあった
コパノキッキングが痛快な逃げ切りを見せた。近年の大井で1200m=1分10秒7(良)という勝ちタイムも速い。3、4年ほど前から大井コースはそれまでより時計がかかるようになり、2016年以降、大井で行われている1200mのダート
グレードでは、1分11秒4が最速(2016年
東京スプリント・
コーリンベリー、2017年
JBCスプリント・
ニシケンモノノフ)。1分11秒台後半が標準的な勝ちタイムだったから、1秒程度速かったことになる。
カペラSでの4コーナーほとんど最後方からの直線一気や、前々走
東京スプリントの不良馬場での追い込みから、直線末脚勝負という印象が強くなっていた
コパノキッキングだが、それは気性的なことでのスタートのまずさからそいうレースをせざるをえなかったというだけ。実際にデビューしてしばらくは逃げていた。この日もパドックではかなり
テンションが高かったが、それがいいほうに向いてくれば今回のように安心して見ていられるレースができるのだろう。その成長分で、他馬とは圧倒的な力の違いを見せた。
前述のとおり勝ちタイムは1分10秒7で、前半3F=34秒3、後半3F=36秒4。前後半の差が約2秒というのは、大井1200mの逃げ馬としては完璧なラップ。前半はやや厳しいペースで後続勢にも脚を使わせ、後半36秒台前半で上がれば、それを差し切るというのはかなり難しい。
直線を向いても藤田菜七子騎手の手応えは楽なまま。残り300m過ぎで手前を替えて追い出され、
サクセスエナジーとの差を広げたあたりで勝利は確定的なものとなった。上がり最速だったのは、4馬身差で2着に入った
ブルドッグボスの36秒2。それも4コーナーまでは中団を追走して、前半は楽をしてのものだった。
JpnIIの
東京盃は、
JBCスプリントが大井か盛岡の1200mでない年は、ダート1200mでは国内で最高格付となっている。それゆえ例年ダート短距離のスペシャリストが集まるが、今年の
JRA勢は重賞未勝利馬でも出走できるなど、
コパノキッキング以外のメンバーは低調だった。それはそのまま結果に現れ、ダート
グレード3勝の
サクセスエナジーはなんとか3着に踏ん張ったが、それ以外の掲示板は南関東所属馬。2着の
ブルドッグボスは2年前ではあるものの
クラスターCを勝ち、その年の
JBCスプリントでも3着。4着の
ショコラブランは今年の
東京スプリントでコンマ2秒差の4着。5着の
キャンドルグラスは昨年も5着で、前走
アフター5スター賞では
キタサンミカヅキにクビ差の2着。それぞれダート
グレードでそれなりの実績があった。
一方、単勝一桁台で2、3番人気となったのは、佐賀・
サマーチャンピオン2着の
ヒザクリゲと、同1着の
グランドボヌールだったが、
ヒザクリゲはスタートで出負けして後方からとなって8着、
グランドボヌールは中団追走のまま10着と、ともに見せ場をつくれなかった。
ヒザクリゲはダート短距離で3勝クラスまで3連勝だったとはいえ、
サマーチャンピオンが初めての地方で、重賞も初挑戦。
グランドボヌールも
サマーチャンピオンが未勝利戦以来のダート戦。ということを考えると、掲示板内に入着した地方馬と比較して経験も少なく未知数な部分も多かった。
さて
コパノキッキングは、
JBCスプリントへ、となるのだろうか。ス
プリントに限らず、今年はJBCの舞台が小回りの浦和ということで、早々と回避を表明する有力馬陣営も少なくない。追い込み一辺倒の
コパノキッキングであれば直線の短い浦和では無理だが、今回のようにスタートが安定して決められるのであれば無理な話ではない。そもそも無謀と思われた
フェブラリーSで5着に好走したときも、「1600mに対応できるように馬を作り変えた」ということだった。次も、コーナー4つの小回りコースに対応できるように調教で馬を作り変える、ということはあるかもしれない。