今年の
凱旋門賞は、3連覇がかかる
エネイブルに注目が集まっている。昨年の当レースの勝利後、陣営は究極の目標として
凱旋門賞3連覇という前人未到の記録達成を掲げてきた。
ナサニエル産駒の5歳牝馬は、この歴史的挑戦にむけて昨年以上により良い準備ができているようだ。
今シーズン13度のGI制覇を成し遂げたJ.ゴスデン調教師も「昨年は、シーズン途中の離脱や熱発による調教不足もありギリギリの状態だったが、今年は夏以降の状態が非常に良く、仏ダービー馬
ソットサスや
英インターナショナルSを制した
ジャパンにも勝てる状態にある」と太鼓判を押している。師は、同じく3連覇に挑んだ
トレヴを破った
ゴールデンホーンのような3歳牡馬が立ちはだかることを心配しているが、距離実績があり、馬場不問の彼女には心配無用だろう。
一方、3歳牡馬に関しては明らかに軽視されるべきではないだろう。仏ダービー馬の
ソットサスがその例だが、ニエル賞でのパフォーマンスを見る限り、明らかに2400mが適距離といえ、クラシック当時よりパフォーマンスを上げているように見える。
A.オブライエン厩舎の
ジャパンは、英ダービーでの約半馬身差3着の惜敗以降3戦3勝。
凱旋門賞と同コースで行われるパリ大賞典で勝利を飾ると、
英インターナショナルSでは
クリスタルオーシャンにアタマ差勝利。この馬は一戦ごとに進化しており、いまだ良化の余地を残していることは明らか。
ガリレオ産駒で堅い馬場が懸念要素だが、それ以外は問題ないだろう。
同厩の
マジカルは、惜敗続きながら最終的に
凱旋門賞を制した
ファウンドと、ある程度重なるところがある。恐らく、
凱旋門賞の同日に行われる
オペラ賞なら楽に勝てるだろうが、彼女の調教助手は
エネイブルに再度挑戦する価値があると考えている。
愛チャンピオンSでの鮮やかな勝利を見れば、師がいつも口にしている「彼女は秋に本格化する」という言葉の真意が理解できよう。
一方で
凱旋門賞といえば、日本馬にも注目せざるを得ない。今年は
ディープインパクトや
オルフェーヴルのような馬はいないが、C.スミヨン騎乗予定の
キセキは日本馬3頭の中では最も期待できる。惜敗続きのGIでの善戦にピリオドを打つべく、
凱旋門賞制覇を志してハイペースを刻んでいくだろうが、
ヴァルトガイストの3着に敗れたフォワ賞からの上積みを望むのは酷だろう。
フィエールマンと
ブラストワンピースに関しては、今まで多くの日本馬が行ってきた臨戦準備を踏襲することなく、
エネイブルと同じニューマーケットで調教を積んでいる。日本馬2頭はレース直前にフランスに向かうようだが、
凱旋門賞を勝利するにはまだ超えなければならない壁が多そうだ。
人気薄ながら、狙って面白いのが今年のバー
デンバーデンで鮮烈なデビューを飾った
ガイヤースだ。大跳びが特徴的な馬で、今年4月のガネー賞では
ヴァルトガイストに大きく敗れての3着。ケガで夏を休養せざるを得なかったが、前走は衝撃的なパフォーマンスでバーデン大賞を制した。しかし、相手は
凱旋門賞出走馬と比べると格下であり、本番での苦戦は免れないだろう。
(取材・文=リズ・プライス)
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