「
秋華賞・G1」(13日、京都)
芦毛の馬体を躍らせ、4番人気の
クロノジェネシスが直線鮮やかに抜け出して完勝。
桜花賞馬も
オークス馬も不在ならば負けられぬとばかりに、無冠に終わった春の雪辱を見事に果たした。2着は
オークス2着馬
カレンブーケドール(2番人気)、3着は
桜花賞2着馬
シゲルピンクダイヤ(10番人気)で、くしくも春の実績馬が上位を独占。1番人気に推された2歳女王
ダノンファンタジーは、見せ場なく8着に敗れた。
桜&樫の女王不在の三冠最終章。直線半ばで馬群から勢い良く抜け出した
クロノジェネシスが、追いすがる
カレンブーケドールに2馬身差をつけて完勝。春のクラシック2戦でいずれも3着に敗れた悔しさを、台風一過の淀でついに晴らした。
昨年の
アーモンドアイに続く、
オークスからぶっつけで臨んだ淀の大舞台。馬上で人さし指を天に突き上げ、喜びを爆発させた北村友は「馬の力を信じて一生懸命に追いました。デビューからずっとコンビを組ませてもらって、今回ようやく結果を出せました。感謝しています」と破顔一笑だ。
ビーチサンバと
コントラチェックが飛ばし、前半1000メートルの通過は58秒3。ハイペースを味方に5、6番手を無理なく追走し、冷静に勝機をたぐり寄せた。「前を行く
ダノンファンタジーを見ながら、理想の競馬ができました」。今年は
大阪杯(
アルアイン)に続くG1・2勝目。腕はあっても、なかなかチャンスをつかめなかった苦労人が上昇気流に乗っている。
昨年、
ノーヴァレンダで統一ダートG1(全日本2歳優駿)を勝っているものの、JRA・G1は斉藤崇厩舎にとって初めて。指揮官にも格別の思いがよぎったに違いない。調教助手時代には松永幹厩舎で
レッドディザイアを担当。09年
秋華賞、宿敵
ブエナビスタを鼻差退けて戴冠したシーンは記憶に新しい。「道中はいい感じで走っていましたし、抜け出した時の瞬発力がすごかったので、そこで勝利を確信しました」。37歳1カ月15日でのVにより、レース史上最年少優勝調教師に。開業前に世話になった藤沢和師ともガッチリと握手。感謝の気持ちを伝えた。
次戦は
エリザベス女王杯(11月10日・京都)。ぶっつけでの参戦は、秋の2冠奪取を見据えての策でもあった。「走ってみないと分からないですが、この馬の能力も高いので」と新鋭トレーナーは野心を隠さない。鮮烈な走りを見せた芦毛の
ヒロインは、歴戦の古馬、そして
オークス馬
ラヴズオンリーユーが待つ新たな頂上決戦へ歩みを進める。
提供:デイリースポーツ