台風19号の影響で先週土日の東京競馬が中止になり、慌ただしい空気に包まれる秋競馬だが、10月の東京、京都といえば好素材の新馬がデビューを迎える時期。今回は4回東京の後半戦を前に、今後にデビュー予定の逸材を中心にお届けしたい。
それよりも先にGIII
サウジアラビアRCでデビュー2連勝を飾った
サリオス(牡・堀)は当欄でもたびたび取り上げてきたが、文句なしの勝ちっぷりで関東馬ではクラシック戦線の先頭に躍り出た感が強い。
「初戦よりもスタートから出していったこともありますが、前半から行く気になっていたし、直線も合図を出したらしっかり反応してくれました。今後は距離が延びても大丈夫そう」と森助手は初戦からの進境ぶりを口にする。同助手は堀厩舎の
コメンテーターであると同時に、
サリオスを担当する持ち乗り助手でもある。
“一担当としての見通し”について聞くと「出走するレースに向け、きっちりケアをして送り出すだけ」と慎重な答えだったが、素質が開花してきた担当馬の成長を前に、背筋がピンと伸びた気配を感じた。
その堀厩舎からは19日の東京芝2000メートルに
フィリオアレグロ(牡=
父ディープインパクト、
母ジョコンダII)が
M.デムーロでデビュー。半兄はGI2勝の
サトノクラウンで、2歳上の
ポンデザールも現在破竹の4連勝中と血統背景は文句なし。稽古の動きも週を追うごとに鋭さが増してきた。
「気性が敏感だったクラウンとはタイプが違って多少ズブい面はありますが、追うごとに動きも良化し、いい素質があります。初戦から好レース」と同助手。筋肉量が豊富で見るからに柔らかみのある好馬体。これは先々まで注目だ。
同厩舎からは他にも26日の東京芝1600メートルに17年セレクトセール(当歳)で2億円の値をつけた
サトノフウジン(牡=
父ディープインパクト、
母コンテスティッド)、27日の東京芝1800メートルには“
アーモンドアイの弟”
サトノエスペランサ(牡=父
ルーラーシップ、
母フサイチパンドラ)がデビュー予定。後者は東京開幕週にデビューする予定もあったが、「歩様に硬さが出たので大事を取ってスライド。その後の動きも良く、いい状態で出られそうですし、
ルーラーシップの産駒で馬格もある」。「気のいいタイプでスピードがある」という前者ともども好評価で、
サリオスに続く存在になる可能性を十分に感じさせる。
一方、名門・藤沢和厩舎のデビュー組も負けてはいない。19日の東京芝2000メートルには
レッドルレーヴ(牝=
父キングカメハメハ、
母ラストグルーヴ)がスタンバイ。母は
エアグルーヴ直子で、セレクトセールで3億5000万円(11年)もの高値を付けた
ラストグルーヴ。現3歳の全兄
ランフォザローゼスもクラシック路線に乗っただけに当然期待は高まる。
「良血らしく調教が進むにつれて動きが良くなり、今では古馬と同等以上に動けている。オンとオフがしっかりつくし楽しみな馬」と津曲助手。鞍上にはルメールを予定。
他にも
ソウルスターリングの半妹
スパングルドスター(
父ディープインパクト、
母スタセリタ)は20日の東京芝1600メートルを
北村宏司で、27日の東京芝1800メートルでは
ゼノヴァース(牡=
父ディープインパクト、
母リズムオブライト)がルメールで前述の
サトノエスペランサと対決する。
今後もますます楽しみな好勝負が新馬戦から見られそうだ。
(立川敬太)
東京スポーツ