令和最初の
天皇賞・秋のゲートが開いた。
クリストフルメールが乗る1番人気の
アーモンドアイは、内の2番枠から速いスタートを切った。
2コーナーで
サートゥルナーリアに前に入られて手綱を引く局面はあったが、そのまま好位の内を進む。
「ちょっと怖かったです。
アーモンドアイにプレッシャーをかけられたけど、
サートゥルナーリアの後ろというのは、いいポジションだと思いました」とルメール。
スタンドにいた
国枝栄調教師も特に不安なく見守っていた。
「スタートをポンと出たのでひと安心でした。あとは締められないように、と思って見ていました」
アエロリットが逃げ、
アーモンドアイはそこから5馬身ほど離れた6番手の内につけた。
1000m通過は59秒0というゆったりとした流れ。
アーモンドアイの1馬身半から2馬身前には
サートゥルナーリア、すぐ横には
ダノンプレミアム、直後には
スワーヴリチャードがいた。こうした「
アーモンドアイ包囲網」に囲まれたまま3、4コーナーを回り、直線へ。
アーモンドアイは抜群の手応えだったが、前を馬群の壁にふさがれている。
サートゥルナーリアの直後につけたままラスト400m地点を通過した。
「
サートゥルナーリアをマークしていたんだけど、早めに下がってきた」
そう振り返ったルメールは、
アーモンドアイを、逃げる
アエロリットの内に誘導した。
「十分なスペースがあったし、すごくいい反応をしてくれました」
内埒沿いから
アーモンドアイは、凄まじい脚で突き抜けた。国枝師はこう言う。
「おっかないな、すごいな、と思いました。ほんと、びっくりしました」
管理調教師を驚かせる末脚で、外から追い上げた2着の
ダノンプレミアムに3馬身差をつけ、先頭でゴールを駆け抜けた。
「ボタンを押したら、すぐに速い脚を使った。ぼくも彼女の上でびっくりしました。もう特別な馬です」
前走の
安田記念で3着に敗れて心配させたが、やはり、
アーモンドアイは強かった。令和最初の天皇賞にふさわしい、現役最強馬による完勝劇であった。
(文:島田明宏)