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圧巻の上リ3Fでヤマニンアンプリメ完勝/JBCレディスクラシック回顧(斎藤修)

  • 2019年11月05日(火) 18時00分
 開門前からたくさんのファンが来場して盛り上がっていたが、JBCレディスクラシックのスタート後の直線、モンペルデュの落馬はちょっと衝撃的な場面だった。

 2番枠のタイセイラナキラはスタートを出てすぐ内によれ、そのあとしばらくはまっすぐ走っていたようだが、最内モンペルデュの戸崎騎手がラチ沿いを主張しようとしたところでタイセイラナキラがまた内にもたれたところで接触し、モンペルデュはラチに激突してしまった。タイセイラナキラの矢野騎手は、内にモンペルデュがいることはおそらく気づいていたはずで、内へ内へと寄っていっているのを修正しきれなかったのだろう。

 逃げ馬が何頭もいるメンバーで、どれが行くのかと思われたが、その事故があったこともあり、結果的に5番枠のゴールドクイーンが1コーナーを回るところでハナを取りきった。それにしてもゴールドクイーンは、不良馬場のかきつばた記念でもヤマニンアンプリメ以下を寄せ付けず逃げ切っていたように、湿ったスピードの出るダートがよほど得意なのだろう。

 スタートから11秒台のラップを3つ続けて3F通過が34秒4というのは速い。ゴールドクイーンを2番手で追いかけていった3頭は徐々に脱落し、ゴールドクイーン自身もさすがにゴール前では脚が上がってヤマニンアンプリメにとらえられた。ゴールドクイーンがそのまま押し切ればかきつばた記念と結果まで同じになるところだったが、違っていたのはヤマニンアンプリメが長くいい脚を使って差し切ったこと。

 思えばヤマニンアンプリメクラスターCを制したあと、長谷川浩大調教師は「1200メートルに重点をおいてローテーションを組んで、有力な牡馬相手に好勝負できた。秋の目標は浦和のJBCスプリント、1400メートルなので距離ももつように調整していきたい」と話していた。そして臨んだ、本番と同じ舞台のオーバルスプリントは、11秒台のラップを刻んだノブワイルドのペースに対応できず、向正面から追い通しでもなかなか前との差を詰めることができず、ようやく3着を確保という結果だった。

 しかし今回、3コーナー手前から位置取りを上げていく勢いがオーバルスプリントのときとはまったく違っていた。他馬の上りが38秒以上かかったところ、ヤマニンアンプリメの36秒9は圧巻だった。ゴールドクイーンが引っ張ったペースと、ヤマニンアンプリメが後半使った脚によって記録された勝ちタイム1分24秒5は、2000年にレイズスズランが制したさきたま杯(1分24秒7)以来となる1分24秒台の速いタイム。

 ちなみに、このあとに行われたJBCスプリントの勝ちタイム(1分24秒9)よりコンマ4秒速く、2着ゴールドクイーンの走破タイムが、そのJBCスプリントの勝ちタイムと同じだった。いかにヤマニンアンプリメのパフォーマンスが優れていたかがわかる。

 今年開業したばかりの長谷川調教師は、引退した中村均調教師からヤマニンアンプリメを受け継いだ。浦和1400mのオーバルスプリントを経験したことで、見事にそのコースに対応できる馬に作り変えることに成功した。

 2番手集団から脱落した中ではファッショニスタが3着に踏ん張ったが、2着のゴールドクイーンから6馬身差。地方最先着4着のラーゴブルーは、夏の2戦は結果が出なかったものの、今回はマイナス10キロできっちり仕上げてきた。

 落馬事故の影響を受けたのが6着だったレッツゴードンキ。スタートでダッシュがつかず馬群から置かれかけたところ、岩田騎手は内に進路をとった。浦和の1400m戦では、真ん中から外の枠でスタートがあまりよくなかった馬でも、下げてラチ沿いに入れればコーナーワークでわりと容易に位置取りを上げていくことができる。しかし目の前で落馬があったことで岩田騎手は手綱を引いて外に避けた。結果、2コーナーを縦長の最後方で回ることになり、まったく競馬をさせてもらえなかった。

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