開門前からたくさんのファンが来場して盛り上がっていたが、
JBCレディスクラシックのスタート後の直線、
モンペルデュの落馬はちょっと衝撃的な場面だった。
2番枠の
タイセイラナキラはスタートを出てすぐ内によれ、そのあとしばらくはまっすぐ走っていたようだが、最内
モンペルデュの戸崎騎手がラチ沿いを主張しようとしたところで
タイセイラナキラがまた内にもたれたところで接触し、
モンペルデュはラチに激突してしまった。
タイセイラナキラの矢野騎手は、内に
モンペルデュがいることはおそらく気づいていたはずで、内へ内へと寄っていっているのを修正しきれなかったのだろう。
逃げ馬が何頭もいるメンバーで、どれが行くのかと思われたが、その事故があったこともあり、結果的に5番枠の
ゴールドクイーンが1コーナーを回るところでハナを取りきった。それにしても
ゴールドクイーンは、不良馬場の
かきつばた記念でも
ヤマニンアンプリメ以下を寄せ付けず逃げ切っていたように、湿ったスピードの出るダートがよほど得意なのだろう。
スタートから11秒台のラップを3つ続けて3F通過が34秒4というのは速い。
ゴールドクイーンを2番手で追いかけていった3頭は徐々に脱落し、
ゴールドクイーン自身もさすがにゴール前では脚が上がって
ヤマニンアンプリメにとらえられた。
ゴールドクイーンがそのまま押し切れば
かきつばた記念と結果まで同じになるところだったが、違っていたのは
ヤマニンアンプリメが長くいい脚を使って差し切ったこと。
思えば
ヤマニンアンプリメが
クラスターCを制したあと、
長谷川浩大調教師は「1200メートルに重点をおいてローテーションを組んで、有力な牡馬相手に好勝負できた。秋の目標は浦和の
JBCスプリント、1400メートルなので距離ももつように調整していきたい」と話していた。そして臨んだ、本番と同じ舞台の
オーバルスプリントは、11秒台のラップを刻んだ
ノブワイルドのペースに対応できず、向正面から追い通しでもなかなか前との差を詰めることができず、ようやく3着を確保という結果だった。
しかし今回、3コーナー手前から位置取りを上げていく勢いが
オーバルスプリントのときとはまったく違っていた。他馬の上りが38秒以上かかったところ、
ヤマニンアンプリメの36秒9は圧巻だった。
ゴールドクイーンが引っ張ったペースと、
ヤマニンアンプリメが後半使った脚によって記録された勝ちタイム1分24秒5は、2000年に
レイズスズランが制した
さきたま杯(1分24秒7)以来となる1分24秒台の速いタイム。
ちなみに、このあとに行われた
JBCスプリントの勝ちタイム(1分24秒9)よりコンマ4秒速く、2着
ゴールドクイーンの走破タイムが、その
JBCスプリントの勝ちタイムと同じだった。いかに
ヤマニンアンプリメのパフォーマンスが優れていたかがわかる。
今年開業したばかりの長谷川調教師は、引退した中村均調教師から
ヤマニンアンプリメを受け継いだ。浦和1400mの
オーバルスプリントを経験したことで、見事にそのコースに対応できる馬に作り変えることに成功した。
2番手集団から脱落した中では
ファッショニスタが3着に踏ん張ったが、2着の
ゴールドクイーンから6馬身差。地方最先着4着の
ラーゴブルーは、夏の2戦は結果が出なかったものの、今回はマイナス10キロできっちり仕上げてきた。
落馬事故の影響を受けたのが6着だった
レッツゴードンキ。スタートでダッシュがつかず馬群から置かれかけたところ、岩田騎手は内に進路をとった。浦和の1400m戦では、真ん中から外の枠でスタートがあまりよくなかった馬でも、下げてラチ沿いに入れればコーナーワークでわりと容易に位置取りを上げていくことができる。しかし目の前で落馬があったことで岩田騎手は手綱を引いて外に避けた。結果、2コーナーを縦長の最後方で回ることになり、まったく競馬をさせてもらえなかった。