先週のGIII東京スポーツ杯2歳Sを制した
コントレイルの勝ちっぷりはちょっと…いや、相当に衝撃的だった。
芝の状態に左右されるレコードタイムに関してはさておき、今年の2歳世代ではトップクラスの馬と考えていた
アルジャンナが、課題であったはずの折り合いの不安を見せずに追走していたにもかかわらず、5馬身も前を走られてしまうとは…。
仮に
コントレイルがいなければ、
ラインベックに4馬身差をつけた
アルジャンナこそが“クラシックの新星誕生”と持ち上げられていたはず。
レース後、
コントレイルを管理する矢作調教師は「これほどとは思わなかった」とコメントしていたようだが、それは記者も同様。クラシック路線における序列を入れ替えなくてはならない――。そう強く思った一戦だ。
ただし、序列の入れ替えは必要でも、その頂点にいると考えている馬は変えるつもりはない。GIII
京都2歳S(23日=京都芝内2000メートル)を最後に年内は休養。最短であり、最善でもある選択で
日本ダービー制覇へとまい進する
マイラプソディ。
この馬こそが来春の主役だ。ダービーの馬券を今から発売してくれるのであれば、早々に単勝馬券を買いたい。それくらいイレ込んでいる。
マイラプソディに対する期待の大きさは陣営も一緒、いや、それ以上だ。名牝
エネイブルの現役続行が発表された時、大江助手が「なんだよ、引退しないのかよ」と言ってきたので、「あれだけの名馬をあと1年見れる。うれしいことじゃないの」と返したところ、彼は「来年、
マイラプソディで戦うことになるかもしれないんですよ。
エネイブルが強いのはもちろんだけど、あの馬が走るということは馬場をソフトにされる可能性がある。それは避けたいじゃないですか」と。
驚いたことに来春ではなく、来秋の大舞台をすでに視野に入れていたのだ。
実際、週末の雨予報があったにもかかわらず、金曜に散水をしたパリロンシャン競馬場の対応は“
エネイブルを勝たせるため”のように思えるものだったし、
エネイブルのグッズを売るためだけの特別なショップまであった(それも予約販売のみ)。
公正競馬をうたう日本では考えられないほど、偏った姿勢に驚いた記憶がある。まあ、彼女が出走したおかげで多くの観客を呼び込むことができたのだから、興行という意味ではそれもありなのかもしれないが…。
マイラプソディに話を戻すと、新馬戦→
野路菊Sの連勝で資質の高さを存分に示してきたわけだが、藤本助手によれば「
ハーツクライ産駒らしいトモの緩さを残しているだけでなく、前走までは右にモタれるような面も見せていた。
それが中間の短期放牧で解消されているんですよね。キャンターに下ろす瞬間の力強さも格段に進歩していて、気を付けないと持っていかれそうになるほどですよ。すべての部分で平均的に
ランクアップしている」とのこと。
正直、京都内回り2000メートルという今回の舞台設定はフットワークの大きい
マイラプソディに向いていないのだが、ここをクリアすればダービー前の難関・
皐月賞が見えてくる。無敗の2冠馬として渡仏。それも鞍上は
武豊となれば、近年でも最高に盛り上がる
凱旋門賞挑戦になるだろう。
少頭数でもメンバーはそれなりに骨っぽいが、藤本助手は「通過点にしてほしいし、通過点にしてくれると思っている」。3戦3勝で年内は終了。ダービーの試走のため、年明け初戦はGIII
共同通信杯に向かう話も出始めた。
熱狂的なファンの方は今から予定を空けておくことをオススメしたい。
(松浪大樹)
東京スポーツ