それなりに経験を積んだ“ライダー”なら、ちょっと調教にまたがっただけで、その馬がどれほどの器なのか大体わかるのだという。それが1人どころか、2人、3人と同じ
ジャッジをするようなら…。もうその評価は“確定的”としてもいいのではないか。
所属馬に対して「調教助手全員が一度は乗るシステム」を採用している松下厩舎で、
レシステンシアはデビュー前から乗った人間すべてが“走る”と確信した馬なのだという。
「馬房から出して、ちょっと歩かせたぐらいで、もうわかった。ドッシリしていて3歳牡馬の春ぐらいの完成度。2歳の牝馬でそこまでの乗り味を持つ馬はなかなかいないよ。だから中村(厩舎所属騎手)に言ったんだ。この馬ちょっと違うから乗ってみ、って。そしたらアイツも“これは違いますね”って」
初めてまたがった時のインパクトをこう振り返ったのは調教パートナーの内田助手だ。
もう一人の攻め専助手である河北助手も「初めて乗った瞬間に乗り味が違った。古馬みたいにドシッとして、2歳馬らしいフラフラする面がなかったからね。どっかで重賞を勝つだろうって思ったよ」
その言葉通りにGIII
ファンタジーSを勝利。3人の感触が確かであったことを証明した。しかも前週の古馬GII
スワンSの前半3ハロン通過ラップを0秒7も上回る激流の中、堂々2番手からの押し切り。当然、ほかの先行馬は総崩れだ。ちなみに勝ち時計1分20秒7も
スワンSより0秒6も速かった。
重賞を勝つ――。それはGIIIだけにとどまらない可能性が高い。
「スピードだけでなく、
パワーもあるからね。前走乗った(北村)友一は“マイルも全然問題ない”と言ってくれたし、阪神マイルもしっかりこなしてくれると思う。この相手でも楽しみだね」(河北助手)
道中うまく息を入れながら運べれば、GI阪神JFのタイトルはもちろん、その先も見えてくるかもしれない。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ