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「無理っす」が出ない限り“泣かない田辺”狙える/トレセン発秘話

東京スポーツ
  • 2019年12月05日(木) 18時00分
 当方が競馬記者として駆け出しのころ、手応えをつかみにくい代表格が「泣きの昭ちゃん」こと大崎昭一騎手だった。生まれ持った性格もあるのだろうが、放たれる発言に強気な面は皆無。声だけ聞けば、勝つイメージがまるで湧かなかったと言えようか。

 昭和から平成、そして令和へ時代が流れた今、ジョッキーの気質も昔とずいぶん変わったが、それでも個性豊かな面々にあってジャッジの難しいやからは存在する。当方にすれば令和の代表格はすでに中堅の域に入った田辺裕信かもしれない。とりわけ印象的なのはロゴタイプ(8番人気)で制した16年の安田記念だ。

「(状態は)前走と変わらないですよ。いや〜、メンバー強いっしょ。ハナに行くかは状況次第ですよね」

 当時はまだキャラをつかめず印を△に下げてしまったが、決して悲観的ではなく、競馬に対して甘い見立てをしない、それが田辺裕信というジョッキーなのだろう。最悪で「無理っす」が出ない限り可能性はある…というのが当方の“田辺観”である。

 その意味でオッと思わせたのが、阪神JFに出走するマルターズディオサ。その1週前追い切りに騎乗した直後の彼の言葉だった。

「小ぶりでもおとなしくてワサワサしない。競馬で乗りやすい馬ですよ。(問題は)ゲートだけですね。中でバタバタするけど練習はしてくれているというし、出れば遅い馬ではないので」

 一見インパクトは薄いが、彼の口から出るコメントとしては至って前向き。ウーマンズハートに3馬身半ちぎられた新馬戦に対しても「新馬戦はペースが遅くなりがちだし、勝ちに行くのもあって前へ行っちゃったから」と勝負付けが済んでいないことをにおわせるのだから、ある意味で衝撃的でさえあった。

 この驚きをさっそく手塚貴久調教師に伝えると「ずいぶん馬は成長したと俺にも言ってたよ。感触はいいんだろう。前走のサフラン賞(中山芝外1600メートル)はただでさえ不利な外枠。それを外からねじ伏せるんだから強い競馬だよ。印象は地味だけど、マウレアくらい走ると俺も思っているんだ」とこれまた強気発言。マウレアがハイレベルなアーモンドアイ世代の阪神JF(17年)3着馬だけに、強い関西勢の一角崩しもあながち夢ではない? 今週は“泣かない田辺”に注目だ。

(美浦の宴会野郎・山村隆司)

東京スポーツ

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