2019年も残すところ、あと僅か。12月の
地方競馬は、川崎の
全日本2歳優駿(JpnI)、大井の
東京大賞典(GI)という、年末を彩るビッグレースが控えています。
遡ること7年前…
サマリーズが勝利した
全日本2歳優駿は、“カラ馬”がレース展開に大きな影響を及ぼした、印象深い一戦でした。勝利ジョッキーの
藤岡佑介騎手に当時のエピソードと、
川崎競馬場の特徴についてお聞きしました。
──今年の川崎競馬も、残すところ一開催(12月16日〜20日)。注目は何といっても
全日本2歳優駿(JpnI)ですが、佑介騎手は2012年に
サマリーズで勝利していますね。
佑介 父(
藤岡健一調教師)の厩舎の馬だったこともあって、すごく思い出深い一戦です。それに、ダートで大きいところを目指す2歳馬にとっては、
JRA、NARを通して唯一のGI(JpnI)ですからね。
サマリーズにとっても大きな1勝だったと思います。
──過去の勝ち馬を見ると、
アグネスワールド(1997年)、
アグネスデジタル(1999年)、
トーシンブリザード(2000年)、
ユートピア(2002年)、
フリオーソ(2006年)、
ラブミーチャン(2009年)、
ルヴァンスレーヴ(2017年)などなど、のちの大物がズラリ。押しも押されもせぬ出世レースですものね。では、さっそくレースの思い出を聞かせてください。
佑介 おそらく、ファンのみなさんにとっては、カラ馬が先頭でゴールした印象が強いと思うんですけど…。カラ馬とあれだけの距離を併走するなんて、僕にとってもなかなかない経験でした(苦笑)。 ※スタート直後、
アメイジアに騎乗していた
今野忠成騎手が落馬。
──そうでしたね。外目からポジションを上げてきたカラ馬と、3〜4コーナー中間からゴールまでずっと併走状態で。
佑介 はい。スッとハナに行けたし、1、2コーナーでうまくペースを落とせたので、理想的な展開になったなと思っていたんです。向正面で岩田(康誠)さん(1番人気
アップトゥデイト)がマクリ気味に上がってきたんですが、3コーナーで振り切れたので、「あ、ひょっとしたら勝てるかも!」と思ったら、外から1頭、ものすごい勢いで上がってきて。「何が来たんだ!?」と思ってチラッと見たら、なんと人が乗ってなかった(笑)。
──直線はまさにカラ馬と併せ馬。さぞかし追いづらかったのでは?
佑介 直線は、とにかく前に入られたら困ると思って、ずっと「アーッ!!!」って叫びながらカラ馬にムチを見せ続けて。だから、自分の馬にはほとんどムチを入れてない(笑)。ゴールした瞬間は、とにかく「無事に終わってよかったな」と思いました。
──川崎の1600mといえば、スタートから最初のコーナーまで500m近くあるのが特徴かと思いますが、そのあたりはレース展開にどう影響してきますか?
佑介 先行馬有利なのは間違いないですけど、枠の並びも重要になってくるかなと思います。最初のコーナーまで距離があるなか、外から速い馬に入ってこられるとどうしても内はゴチャつきますけど、そこで譲るわけにはいかない。
地方競馬にしてはフルゲートの頭数も多く、幅員もけっこうあるので、外を回ることになったらえらいことになりますからね。コーナーがきつい
地方競馬では、やっぱりスタートが速くて、小脚が使える馬が有利。スッと前に付けて、いかにペースを落として1、2コーナーを回れるかがポイントだと思います。
──最後に、佑介騎手が感じた
川崎競馬場の印象や魅力などを教えてください。
佑介 まず、交通の便がいいのは大きな魅力ですよね。品川からも羽田からも、すごく行きやすい印象があります。川崎駅前にもたくさん商業ビルがありますが、何年か前には競馬場に隣接するかたちでショッピングモール(マーケットスクエア川崎
イースト)ができて、そこからもレースが観えるとか。以前にも増していろんな楽しみ方ができそうで、ジョッキーとしてまた
全日本2歳優駿に参戦したいのはもちろんですが、一競馬ファンとしても行ってみたいなと思わせてくれる競馬場ですね。
(取材・文=不破由妃子)