日刊紙3紙の記者による
有馬記念座談会の後編。前回は人気になるであろう
アーモンドアイ、
リスグラシューについてそれぞれの見解を述べてもらったが、後編ではそれ以外の「3歳勢」「古馬勢」の注目馬をピックアップしていく。まずは、ここ3年で2度
有馬記念を制覇している3歳勢から見ていこう。
【3歳勢でチャンスがあるのは?】
今年の3歳世代からは
サートゥルナーリア、
ヴェロックス、
ワールドプレミアなどが参戦予定だが、
サートゥルナーリアはやや精彩を欠き、ダービー2着の
ダノンキングリーも
マイルCSで古馬に屈したことで、世代レベルに疑問符が付く状況になっている。果たして、3歳で馬券になりそうな馬はいるのだろうか。
「人気になりそうなのは
サートゥルナーリアですね。センスのある馬で、スローから一気に
ギアチェンジして差し切るような競馬ができますし、例年であれば
有馬記念向きの馬だと思います。ただ、先行勢が揃ってペースが上がりそうな今年の
有馬記念で、底力勝負が求められると…
天皇賞・秋の負け方を思い出してしまいます。
陣営がいうには、東京競馬場の地下馬道が苦手ということなので、それを信じるのであれば中山での復活勝利はあり得るのかもしれません。ただ、使ってよくなるタイプというイメージもないので、秋3戦目という点もマイナス材料になってしまうでしょうね」
そう話すのはスポーツニッポン・高木翔平記者。
天皇賞・秋では、
サートゥルナーリアを推していたが、そこで古馬の壁に弾かれた事実もあり、今ひとつここでは強調点に欠けるようだ。
さらに、春の時点では
サートゥルナーリアの実力を買っていた東京スポーツの山河浩記者も
「ちょっと気性がね…。昨年の
ホープフルSあたりではすごい馬が出てきたと思っていたんだけど、弱点が少しずつ露呈してきてしまっている。前走は、夢が萎んでしまう走りだったな」
と、この一族が抱える気難しさを指摘。今後の成長には懐疑的だ。
スポーツ報知の坂本達洋記者は、
ダノンキングリーが敗れた
マイルCSを踏まえ、世代レベルにも疑問を投げかける。
「
天皇賞・秋の直線前では余裕の手応えで“さぁ、ここから弾けるぞ!”と思ったら思いの外の反応でした。
ダノンキングリーも
マイルCSでは5着と、世代レベルに疑問符がつき始めています。そういう意味では、伸びシロという面で
ワールドプレミアが気になります。折り合いに不安のないレースぶりで、
有馬記念にも向きそうです」
ワールドプレミアに関しては山河記者も同調しつつも、今年のクラシックでもっとも安定感のある走りを見せてくれた
ヴェロックスに食指が動くようだ。
「昨年の
菊花賞も、そこまでレベルの高いレースではないんじゃないかと言われてたなかで、
有馬記念で
ブラストワンピースが勝った。それとイメージを重ねるなら、レースレベル等で軽視するのは危険じゃないかな? まぁ、個人的には
菊花賞敗北組の
ヴェロックスを推したいけれど。
菊花賞での敗北は距離の壁ということで参考外で良いと思うし、あのペースでも折り合えるところはある程度示してくれた。
高木記者も「
ヴェロックスは怖いですよね! キレる馬ではないんですが、ああいうタイプの馬がGIを勝つならこの条件しかないといえるほど、絶好のチャンスだと思います」と強力にプッシュ。
坂本記者も昨年の
ブラストワンピースを例に出し、「ダービー3着で
菊花賞も3着。ダービー5着、
菊花賞4着の
ブラストワンピースと結構印象がかぶります。クラシックで勝ちきれなった馬がここで開花…あるんじゃないですか?」と、警戒している。
【古馬陣で逆転を秘める可能性のある馬は?】
古馬陣を見渡してみると、今年はひと癖もふた癖もありそうなメンバーが揃った。そんななかで、高木記者が注目しているのは、近走不振続きの
エタリオウ。2015年の
有馬記念で当時、2勝馬だった
サウンズオブアースが2着に来た例もあるだけに不気味な存在に映る。
「古馬で気になっているのは
エタリオウ。前走は復活の兆しが見られました。自分で走る気をなくしちゃうタイプだけに、本気を出したときの強さは誰も知らない馬です。そのやる気を取り戻すために、陣営も馬具をいろいろ変えたりと試行錯誤をしていますし、そろそろ結果が出るのではないでしょうか?」
エタリオウについては山河記者も「名手・横山典騎手が4連続騎乗。思うところあってのコンビ継続だろうから、大舞台で驚くような走りを見せても不思議ではないよね。もうクセは熟知していそうだし、魅力的な1頭なんじゃないかな」と首肯。
坂本記者も「前走後、陣営からも「ようやく“らしさ”が戻ってきた」という前向きなコメントが飛び出していました。
有馬記念という舞台も、コース、距離に不安はないです」と、前向きにとらえている。
それ以外で名前があがったのは、こちらもラストランとなる
アエロリット。これまでマイルから中距離を中心に走り、2500mという距離は初になるが、展開的に面白い、と踏んでいるのは山河記者。
「
アエロリットも面白い存在だと思う。みんなが『あれっ!?』って思っているうちに逃げ切ることもありそう。自分で競馬を作れるし、暴走するわけではないし、脚も使えるし。中山競馬場でも3度走ってすべて馬券圏内になっているのも良いよね」
坂本記者も、「
アエロリットはなんとなく、距離適性など先入観を持ってしまいがちなんですよね。でも、前走の
天皇賞・秋でもしっかり3着にきているあたり、確かな実力があると思います」と、相槌を打つ。
さらに、坂本記者が注目するのが
凱旋門賞帰りの
フィエールマン。
「長距離適性もありますし、調教を見る限り海外遠征の大敗からは立ち直れていそうです。前走の
凱旋門賞大敗の理由は馬場、体調と明らか。それよりも、早い段階から有馬に向けて調整していた点に魅力を感じます。前が速くなりそうな今年の
有馬記念に、池添騎手はマッチしていると思います」
高木記者も「
アエロリットが引っ張る
有馬記念はスタミナ勝負になると思いますから、そういう意味では魅力あると思います。何より、池添騎手は
有馬記念男ですから。
インディチャンプなど、代打騎乗での大仕事も多いのも心強いですよね!」と、昨年も
ブラストワンピースで勝利した鞍上の手腕に期待を寄せている。
有馬記念は1年の総決算。今年はGI馬11頭が揃い、記者たちも目移りするほど多士済々なメンバーによって争われること間違いナシ。記者たちの見解を参考に今年1年に思いを馳せ、気になる馬、好きな馬を応援して楽しむのも一興ではなかろうか?
今年の
有馬記念は波乱か?
テッパンか? ユーザー
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