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【勝負の分かれ目 有馬記念】5歳の暮れにしてさらに進化していたリスグラシューが有終の美を飾る

  • 2019年12月22日(日) 18時00分
 雨足が強くなるなか、大方の予想どおりアエロリットがハナを切った。すぐに単騎逃げの形に持ち込み、正面スタンド前で2番手との差を少しずつ広げていく。

 1000m通過が58秒5とターフビジョンに表示されると場内がどよめいた。5馬身ほど離れていた2番手のスティッフェリオで59秒台の半ばほどか。

 圧倒的1番人気に支持された、クリストフ・ルメールアーモンドアイは中団の外につけている。

「スタンド前でちょっとスイッチが入った。2500mでいいペースで行ったら、リラックスしないと最後は疲れてしまう」とルメール。

 ダミアン・レーンが乗るリスグラシューは、アーモンドアイの少し後ろのインコースで脚を溜めている。

「流れが速くなったので、ポジションよりもリズムを優先して乗りました。結果的に、予想していた前後のポジションを取ることができました」

 向正面でアエロリットのリードは6、7馬身に広がっていた。

 縦長になった馬群の最後方に武豊ワールドプレミアがつけている。

「決め打ちしました。溜めるだけ溜めて、4コーナーでの手応えもよかったです」と武。

 3、4コーナーを回りながら馬群は急速に凝縮され、アエロリットのリードが小さくなっていく。

 ラスト400mで後続がアエロリットを飲み込み、直線へ。

 アーモンドアイが内の2頭に並びかけ、そこから突き抜けるかと思われたが、今ひとつ伸びない。

「フィジカルは大丈夫。状態もよかった。でも、ぐっと来るところがなかった。あまりリズムがよくありませんでした」とルメール。

 伸びあぐねるアーモンドアイを尻目に、外からサートゥルナーリアが先頭にならびかけた。そのさらに外から、リスグラシューが猛然と伸びてくる。

「手応えがすごくよかったので、そのタイミングでスペースのあった外に出した。そこからは馬の能力に任せました」とレーン。

 リスグラシューは、ラスト200mで先頭に並びかけると一さらに加速し、2着を5馬身突き放してラストランをグランプリ制覇で飾った。

「5歳の暮れになって、さらに成長し、進化していました。感無量です」

 有馬記念初参戦で栄冠を手にした矢作芳人調教師はそう話す。

 2着はサートゥルナーリア、3着はワールドプレミアの3歳勢。アーモンドアイは9着に終わった。

(文:島田明宏)

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