今週末に開幕する冬の小倉競馬は初日(18日)から…というか、初日こそが
クライマックスの様相。ルメール、
武豊、川田などのトップジョッキーに藤田菜七子まで加わるとなれば、おそらくは開催最終日(2月23日)の
小倉大賞典をしのぐ、お祭り騒ぎになるだろう。
特に夏は札幌開催とかぶるため、ルメールの小倉登場はなかなかのレアケース。調べてみたら2015年9月6日以来だ。そんな背景もあってか、この日の小倉は「ローカルなのに未勝利戦も無駄に強いんですよ」と音無キュウ舎の平井助手も嘆く状況。
もっとも、ルメールを確保して芝1800メートルに出走予定の彼の担当馬
ダノンセレスタは、中央場所でも人気を集める存在。相手は揃っていても、時計を要する京都芝を走るよりは、開幕週の小倉芝のほうが確実かもしれない。
レアといえば、今週はルメールの小倉参戦を超える“レア物件”がある。先週の9日、いつものように友道キュウ舎へ顔を出すと、「松浪さん、今朝の調教スタンドは沸いてたでしょう?」と大江助手がニヤニヤ。何のことかさっぱり分からず、実際にスタンドが沸いた瞬間もなかったので「いや、特に沸いてなかったけど」と答えると、「マジで?追い切りでビルゴに乗ってたの、ユタカさんですよ。ユタカさん」と。
ああ、そういえば乗ってたなあ。でも、それが何か?「いやいや、その反応はマスコミとしてダメでしょう。アドマイヤの馬にユタカさんが騎乗するのは10年ぶりですよ、10年ぶり。それだけでもすごいのに、その馬が6億円の注目馬なんですから。もっと驚いてもらわないと困りますね」と返ってきた。
そう聞くと確かに、とてつもないことのように思えてきたので調べてみると、アドマイヤ系の馬に
武豊が騎乗したのは09年12月5日の
アドマイヤミリオンが最後。しかし、これは抽選で騎乗馬が決まるWSJSでのもの。純粋に依頼を受けての騎乗は07年5月13日、
ヴィクトリアマイルの
アドマイヤキッスまでさかのぼらなければならない。12年以上もあれば、小学校に入学した子が高校を卒業してしまう、あまりにも長い年月――。これは確かに、もっと驚く必要があったかも…と深く反省した次第だ。
そんなこんなの背景があって、19日の京都芝外1800メートル新馬戦に登場する
アドマイヤビルゴ(牡=
父ディープインパクト、
母イルーシヴウェーヴ)。現状、稽古では落札額(17年セレクトセールで5億8000万円=税抜き)に見合う走りをしているとまでは言い難いが、大江助手は「気性も悪いし、トップスピードまで乗っていかないし…。最初はどうなることかと思ったけど、追うごとに整ってきましたよ。軽いところを乗っても血統の良さを感じるフットワークをする。それこそユタカさんに乗ってもらった先週の動きなら格好はつけられると思ってます」。
勝手に“話題先行”と決めつけると痛い目に遭うかもしれない。
(栗東の本紙野郎・松浪大樹)
東京スポーツ