節目の60回目を迎えた
京成杯。1番人気に支持されたのは、前走の新馬戦を5馬身差で逃げ切った良血牝馬
スカイグルーヴだった。 綺麗なス
トライドで走る馬なので、ところどころ荒れて水を含んだ稍重の馬場状態が不安視されたが、単勝2.1倍の圧倒的な支持のままゲートが開いた。
大外12番枠から出た
スカイグルーヴは好スタートを切った。内の馬たちの出方を見ながら正面スタンド前を抜け、3番手の外で1、2コーナーを回って行く。
その1馬身ほど前の内で逃げているのは
ロールオブサンダー、半馬身ほど遅れた外に2番人気の
ヒュッゲ。
スカイグルーヴは、さらに半馬身ほど遅れた外を、ゆったりとしたス
トライドで走っている。
1000m通過は1分1秒5。向正面なかほどで先頭から最後尾までは10馬身ほどか。先行馬群がひとかたまりになり、その後ろから2頭がポツンと追いかける展開だ。最後方は
リメンバーメモリー、後方2番手は、
吉田豊が騎乗する
クリスタルブラックだった。
3コーナーに入っても、先頭から
クリスタルブラックまでは7、8馬身の差があった。一方、
スカイグルーヴは、抜群の手応えで3番手の外につけたままだ。
ラスト600mを切った。持ったままで
スカイグルーヴが先頭に並びかけた。3番手以降は少し離れ、このまま楽勝するかに見えた。
そのとき、
クリスタルブラックは、先行集団の外に進路を取っていた。
「新馬戦でも最後は外からいい脚を使ってくれた。内枠(1番枠)でしたが、馬場の内側が傷んでいたので、最後は外に出したいと思っていました」と吉田。
スカイグルーヴが内の
ロールオブサンダーよりわずかに前に出て直線に入った。大外に出た
クリスタルブラックとは5馬身ほどの差がある。
スカイグルーヴが完全に抜け出した。
ラスト200m。外から
クリスタルブラックが猛然と末脚を伸ばし、
スカイグルーヴとの差を詰める。その差は2馬身、1馬身と見る見る縮まり、
クリスタルブラックが、ゴールまであと5完歩ほどのところで
スカイグルーヴに並びかけ、かわした。
「外に出したときの感じが、前走と同じように伸びそうだった。2戦目で、気合の乗り方が違っていました。
テンションが高くなって、ちょっと掛かったりしましたが、乗り味のいい馬です」と吉田。
半馬身差の2着となった
スカイグルーヴより、コース適性と馬場適性が高かった。それに加え、自分の競馬に徹して力を引き出した吉田の騎乗も見事だった。
(文:島田明宏)