2020年の
JRA・GI開幕戦は第37回
フェブラリーS(23日=東京ダ1600メートル)。そして翌週には世界最高峰となる1着賞金約11億円の第1回
サウジカップ(29日=キングアブドゥルアズィズ、ダ1800メートル)が開催される。
冬場の競馬を熱くするのは砂上決戦。とはいえ、懐が温まらなくては面白くない?ならば「トレセン発(秘)話」火曜担当の高岡功記者が発掘した
フェブラリーSの特注馬をお披露目させていただこう。
日本代表としてサウジCに出走する
ゴールドドリーム陣営にお墨付きをもらった実力馬は、同じくサウジCに出走する
クリソベリルの身内でもある。
クリソベリル&
ゴールドドリームというダート界のツートップをサウジCに取られた?今年の
フェブラリーS。例年より手薄なメンバーになった感はあるが、この状況を素直に歓迎しているのが
インティで連覇を狙う野中調教師だ。
「やっぱり、あの2頭は強いからな。できれば海外遠征してくれないかと思っていたんだ。2頭がいなければ、それだけウチの馬に勝つチャンスが増えるわけだから。素直に喜んでいるよ」
まさに偽らざる心境だろう。デビューから無敗の6連勝と快進撃を続ける若きダート王=
クリソベリルと、3歳時から息長くGI路線で勝ち負けを続けてきた古豪=
ゴールドドリームはとてつもなく分厚い壁。この2頭がいないだけで、
インティのみならず、出走各馬に可能性が大きく広がったのは確かだ。
そんな強豪の関係者から一目置かれている馬がいるとすれば…注目して損はない。実は
ゴールドドリーム陣営から「めちゃくちゃ強い」と“お褒めの言葉”をもらった馬がいる。
サンライズノヴァだ。
昨年10月、
盛岡競馬場で行われた
南部杯で、
ゴールドドリーム(3着)に0秒5という決定的な差をつけて完勝したのがこの馬だった。
「あのレースに関しては素直に
サンライズノヴァがめちゃくちゃ強かったというしかないやろ。突き抜けとったもん。ウチのだって、よく頑張っていたと思う。あれはしゃあない」とは
ゴールドドリームを管理する平田調教師の弁だ。
その勝ち時計1分34秒2(良)は、2016年に
コパノリッキーがマークしたレコード(1分33秒5=稍重)に次ぐ、レース史上2番目に速いタイム。数字的にも“めちゃくちゃ強かった”。
「台風が来た後で、締まった馬場ではありましたけどね。そういうダートのほうが得意でもあるので」と最初は謙遜気味に振り返った担当の棚江助手だが、「確かに強い競馬をしてくれました。ここにきて馬に活気が出てきたんです。それが最近のレース内容にも表れているのかな。少なくとも去年のこのレース(7着)を使った時より、断然いいと思いますよ」と目下の充実ぶりを伝えてきた。12日の1週前追い切りでは坂路で4ハロン50.4-12.3秒の好時計をマークし、
クリソベリルに先着。確かに昨年を上回る動きだ。
南部杯を勝ったことで状況は変わった。過去1年の牡馬混合GI勝ち馬=斤量プラス3キロの規定により、前走の
武蔵野S(5着)では59キロの酷量に…。もはや使えるレースが限られてきてしまっている。つまり、走れるレースにエネルギーを“集中投下”する戦略に変更せざるを得ないのが今の状況なのだ。
「もともと、東京マイルのここが
サンライズノヴァにとって一番の勝負どころですからね。今年はメイチの仕上げで臨みますよ」(棚江助手)
ひょっとして、
クリソベリルがサウジCに向かったのも、ベストの舞台で中央初のGIタイトルを狙うキュウ舎の先輩に道を譲るため?これは深読みし過ぎだろうが…。ともかく、今年の
フェブラリーSが
サンライズノヴァにとって“馬生”最大の勝負時なのは確かだ。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ